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◆Short Novels

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「思ったよりスムーズだな」

楽しそうにする柔道部に対して、佐藤の心は黒い水滴が落ちていき黒く染まっていく。

嫌だ、嫌だ。止めろ。

佐藤は動かしにくい身体を必死に動かして暴れる。
けれど肩を持ち支える金髪の存在のせいでそれは大した動きにはならず、柔道部は抵抗する佐藤に構わずにグリグリと指を更に埋め込んだ。


「あっ、んっ、やめっ」
「こらこら、暴れない」
「女みたいにスムーズで面白いぞ、これ」
「凄い眺めだね……ヌチュヌチュ音が鳴ってる」


眼鏡の言葉なんて佐藤の耳には入らない。

ただもう、嫌悪感と恐怖が、佐藤を襲っていた。
気持ち悪い。
触れるな、触るな。
どんな刺激も与えるな。


「お前ら……指を、抜け…っ…」
「何で?全然指拒んでなさそうじゃん?」
「っん」


ツン、と金髪が少なからず喜びを示している佐藤の欲望をつついた。
その動きに合わせて、先端から零れた精液。

初めて、男である事を嫌悪した。
精神なんて伴っていなくて自身に触れられたら、前立腺を掠められたら、身体は強制的に熱を帯びる。

気持ち悪い。


「お前全然萎えてないじゃん」
「やっぱりか。こいつのナカも、指を結構締め付けて来るんだよ。増やしたらどうなるかな?」
「なら増やせば?」
「!! それ以上、したら、殺す…」


喘ぎ声を我慢して脅しの言葉を放つ。
嫌悪を我慢して虚勢を放つ。
潤む瞳を我慢して睨みを利かせる。

佐藤からしたら指だけでも屈辱で裏切りで許されない事なのだ。
なのに、もし、もしも本当に指だけで終わらなかったら。

分かっている、きっとこいつらはそれをするつもりだと。

けれどそんな事になったら。
きっと、佐藤は耐えられない。
精神も肉体も、全て。


「じゃあもう、一気に3本くらい挿れるか?」
「なら俺もそろそろ遊ぼうかなー」


指が抜かれた。
埋められていたナカに空洞が出来て空気が入る。
ナカがヒクヒクと震えた。


「っ、あ……」


後孔に、指があてがわれるのが分かった。
同時に、胸の突起に生暖かい舌が触れた。
身体に、不快感と悪寒が走った。
全身に鳥肌が立った。


「ぁ、はっ、や、めろぉぉっ」


佐藤の大きな拒絶の叫びに対して無情にもクプ、と3本の指が佐藤の内壁を広げて。
レロ、と舌が佐藤の乳首を唾液で濡らした。

脳裏に浮かぶのは濱本の姿。


「あ、や、あぁぁっ」


快感にいらない。
もう何の恨みかは知らないしどうでも良い。
だからいっそ、殺して。

高い窓から僅かにこぼれる陽の光に、途方もないような眩しさを感じた。

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