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◆Short Novels

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暴力によるリンチだったら平気だったのに。
3人の手が自分の身体に伸びて来た瞬間、佐藤は思った。


「っ、触ん、な……」


佐藤の肌の上を複数の慣れない手が這う。
気持ち悪い。吐き気がする。
濱本が良い。
濱本じゃないと嫌だ。


「もっと面白い反応してよ。そしたらもっと優しくしてあげるよ?」
「お前らにされて反応するかよ」
「佐藤くん生意気ー」
「っぐ!!」


金髪ピアスが丸まっている佐藤の腹部を蹴った。
動かない身体では痛みを逃がすことも出来ずに、そのまま痛みを受ける。

喧嘩しても大抵佐藤は蹴る側だからこのような類の痛みには大して耐性がない。
耐性があるのは痛みも羞恥もそれら全てを変換する事。
けれどそれは相手が濱本の場合だけだ。
他の相手から与えられても痛いだけで、変換する事は不可能だ。

ズボンをおろされて膝で止まっていて身動きが難しい。
それに加えて、後ろでの両腕の拘束だ。
抵抗も何も出来ず、ただ耐えるしかない。
慣れない気持ち悪いそれに、耐えるだけだ。


「偉そうな佐藤くんには罰を与えないとなー」
「縛んの?可哀想に」
「はい、紐」


三人の会話からどこを縛るのかなんて聞かなくても分かった。
普段からされているから、尚更想像が容易かった。

金髪ピアスが笑いながら佐藤自身の根元を縛って射精を制限した。
縛った後もわざとらしく擦ったりして刺激を与えてくる。
欲望を直接触れられると、精神とは別に体は勝手に反応をした。

その上、佐藤は家で中途半端に熱を出したばかりだ。
本当に欲しいモノを受けていないまま、こうして今こういう目に遭っている。

身体は待っていたとばかりに、佐藤の精神を責め始めた。


「っあ」
「お、ようやく素直になってきた?」
「本当だ。濡れてきたな」


奥でくすぶっていた熱が再び熱くなった。
嫌だ。濱本意外に感じたくない。
気持ちが拒む。
けれど、金髪ピアスの手は男がどう触られたら感じるのかよく知っている。
男を高ぶらせる慣れた手付きが、佐藤の身体だけを勝手に熱くさせた。

しかしそれ以上に、濱本から今まで与えられてきた快楽に慣れている身体が、更なる快感を要求していて、濱本の精神を裏切っていく。


「っ、触ん、な……」
「大丈夫だって。出さなくてもイケるらしいから。そうなれるまで手伝ってやるよ、俺らが」
「そうそう」


柔道部の言葉に佐藤は心の中で反論する。
出さなくても何度だってイケる事くらい知っているし、実際可能だ。
けれどそれはお前ら相手にではない、

佐藤には、濱本だけ。
触れる手も、熱を煽る言葉も、全て。
許すのは全て、濱本だけ。
それ以外の存在には、何もされたくない。

モノを上下に扱かれて直接的に快感を得る身体は否応なしに反応して張り詰めてくる。
同時に佐藤の飢えている身体はナカへの刺激が欲しいと求めてくる。

前の刺激なんていらない。
もっと気持ちいい所があるのを知ってる。
濱本が、いつもそこを弄って苛めて気持ち良くしてくれる。

俺を無視して読書をする綺麗なあの指で。
俺の髪を掴むあの手で。
俺を蹴るあの足で。
俺を蹂躙するあれで。

濱本は俺のナカを気持ち良くしてくれる。


「っん」


弄られている自身に反応してではなく、脳内で想像した濱本の姿に反応して、佐藤は無意識に腰を揺らした。


「じゃあ、どうせ後ろ入れるし、そろそろ…な」
「あ、俺したい」
「えー。なら俺は他を弄っとくわ」
「俺はお前らを見てる……」


佐藤が願って無意識に求めた矢先、柔道部が佐藤の背後に回り、金髪ピアスが前を陣取り、眼鏡が少し離れた所に座り舐めるように佐藤を視姦した。


「あっ、やめろっ」


自分を見つめる視線と目が合い、佐藤は曖昧に実感していた状況を明確に把握する。

濱本以外の人間が、佐藤の内部を犯すという状況。
その恐ろしさを、把握した。

好きな人以外が、自分の身体を犯すという恐怖。


「や、めろ!触るな!」
「まだ何もしてないだろ。それに今まで散々触ってただろう」


そんなのは問題じゃない。
汚い手で触られていた方がマシだった。
延々とそこに刺激が与えられない地獄の方がマシだった。

でも、それはダメだ。
それだけは、本当にダメだ。
それは、本当の地獄だから。


「っ、いいから、俺に、触れるなっ」
「なんか急に動揺されると盛り上がるな」
「やっぱこうじゃないとねー」


急に激しく抵抗を始めた佐藤に興奮した2人は佐藤の尻を高くあげさせ這いつくばらせ、露わになった後孔にローションか何かで濡らした。


「っ」


体温とは違う冷たい温度の液体が、佐藤の尻を濡らした。
後孔を濡らし、足を伝う。

そして、柔道部の指がまずは一本埋められた。


「っんぁっ」


鼻にかかった声が、佐藤から漏れた。

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あきゅろす。
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