◆Short Novels
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「……濱本の、馬鹿…」
ベッドの上で横になり、頭の上にタオルをかぶせて佐藤は小さく呟いた。
昨夜の自分を思い出して今更に赤面する。
こんな事はそれこそ数え切れないくらい回数を重ねていて、もちろんその内容も一般的な恋人がするような行為と違うのも分かっている。
けれど、何度しても濱本の前で霰もなく乱れて詰られ攻められる事はやはり佐藤にとってはまだ恥ずかしい事で羞恥心がある。
「濱本だけなんだよ……」
自分のナカに深く突き立てて激しく犯してくれなくても良い。
性欲処理の相手として扱われようが構わない。
あの冷たい瞳で佐藤を見て、冷たい言葉をかけてくれて、そうして佐藤の相手をしてくれたらもう幸せ。
「……会いたい、濱本」
佐藤はベッドに倒していた腕をモソモソと自らのズボンの中へと入れる。
「っあ……」
そして触れたのは濡れ始めたモノではなく、まだ解されていない固く閉じた後孔。
そこにそっと指を一本強引に埋め込み、第一関節をグルグルと動かして掻き回す。
「あ、あ……濱本…」
想像するのはもちろん、自分冷たい瞳で見下ろす濱本の姿。
そうして昨日は、濱本は自分をどんな風に乱暴に犯してくれたっけ?
「あ……出しちゃ、だめだ……」
佐藤はそう言うとおもむろに空いていた片手で自身のモノの根本を強く握り締めた。
「後ろ、だけで……ぁあっ…」
出せなくなって苦しくなったにも関わらず佐藤は後ろに強引に三本の指を入れた。
慣らしてなくて無理矢理なくらいが丁度良い。
そうして前立腺を押しながらすれば大丈夫だから。
佐藤は濱本がいつも自分にしてくれるようにする。
出さずに頑張ってる姿を見られていなくても、頑張った後にご褒美を貰えなくても良い。
ただその辛さが佐藤にとっての快感だった。
「はま、もとぉ……いっ、あっ……はふっ」
三本をバラバラに動かして内壁を擦る。
中指で最奥にある前立腺を掠めて、佐藤は「っあ」と一際高い声を出す。
「そこ、そこっ……濱本、気持ちいいっ」
もっと、もっと欲しい。
佐藤はバラバラにではなく、今度は三本をグポッと抜き差しを始める。
引き抜いて、一気に前立腺を突いて。
自分の限界までの速度で、速く。
何度も何度も、自ら後孔を弄りながら自慰をした。
「あ!っ!…ひぁっ!…イイ、気持ち、いいっ……はま、もと!……はま、もとぉ…」
『うるさいよ。黙ってなよ。淫乱』
「あぁぁ、ごめ、なさ!!」
脳裏で再生された濱本の冷たい、自分を蔑むような声での言葉。
たったその一言で、佐藤は前か精液を出す事もなくドライで達した。
「……濱本に……会いに、行く…」
もっと俺を虐めて。もっと俺に酷くして。
ちゃんと一人でドライ出来たよ?
だから、ご褒美に、もっともっと、俺をイジメて……。
フラフラした足取りで、そろそろ帰宅するであろう濱本を迎えに佐藤はだらしなく制服を着て家を出た。
今時間的には学校がちょうど終わった頃だ。
佐藤はフラフラと制服を着崩した状態で歩きながら、学校を目指す。
きっと濱本はまだ学校にいるだろう。
身体は熱で火照って、心はもう此処にない。
全身全てで求めるのは、濱本ただ1人。
それ以外は今の佐藤には視界に入らない。
『気持ち悪い、来ないでよ淫乱』
脳内で再生される濱本の声と表情。
あぁ、たまらない。
早く会いたい。
「あっれー?佐藤くんじゃない?」
「あ、本当だラッキー」
「……誰だ、てめぇ」
けれど、佐藤が出会ったのは会いたくて会いたくて仕方がない濱本ではなく、認識さえしていないその他大勢の学生服を身に付けた生徒達だった。
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