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◆Short Novels



「濱本くん、今日佐藤くんは?」
「知りません」

濱本の読書を邪魔したのは欠席の多いクラスメイトを心配する生徒でもなく、出席日数を気にかける教師でもない。


「はー?濱本くん、いつもアイツと一緒じゃん?」
「違いますけど」


自ら仕掛けた喧嘩に短気な佐藤にやり返されて負けた、格好悪いその他大勢の生徒だ。


「てめぇ嘘言ってんじゃねぇだろうな」
「佐藤を庇う利益が俺にありませんけど。というよりも……」


濱本は意味の分からない因縁をつけてきた生徒の方にようやく視線を合わせた。
そして読んでいた本を閉じて立ち上がると、鋭く睨む。


「あの馬鹿に負けたあなた達に俺の読書の邪魔をされた事がとても不愉快なんですが、うっかりあなた達が負けた時の画像をネットに流してもよろしいですか?」
「っ!!」


微笑みながら問う事で凄みが増し、その他大勢の絡んで来た生徒達がたじろぐ。
それを確認してから、濱本は柔らかく微笑みながら肩に手をおいた。


「冗談ですよ。でも、佐藤の居場所を知らないのは本当です」
「……嘘ついてないだろうな」
「すみません、お役にたてなくて」


実際の所、画像を持っているのは真実で、居場所を知らないというのが嘘だ。
しかし、どちらもその嘘がバレた所で濱本は全く困らない。


「……分かった」


先輩なのか後輩なのか同級生なのか。
それさえ定かでない生徒達が罰が悪そうに帰って行く。

仕返しがしたいなら直接佐藤の家に行けば良いのに。
佐藤が今日学校に出ていない理由を知っている濱本は呑気に考える。

昨日濱本が相変わらず加減せずに遊んだから起きられなかったのか。それとも、起きれる状態じゃないから。
そのどちらか、もしくはその両方が原因なのは確かだろう。
その原因の張本人である濱本は、佐藤を探すその他大勢の生徒には興味無さそうに、再び興味を本へと戻した。


ーーーーー


そして、次に濱本がその他大勢の生徒を見たのは、見知った人物に乱暴を働いている光景の中心人物としてだった。


「……何してんの?」


そう尋ねた自分の声は普段とは比べ物にならない程低く冷たく、血の通っていない声のようだった。


「やだぁ、みない、で……」


周囲を囲むのはお世辞にも整っているとは言えない生徒達。
その生徒達により衣服を剥ぎ取られ、身体は誰の物か何の体液かも分からないもので汚されている生徒。
後孔に深く埋め込んでいるのは同じ性別を持った生徒の太く猛っているモノ。
瞳は赤くはれて、髪はベトベトに汚れている。

そう、自分が密に気に入っていた、サラサラとした髪の毛。


「みちゃ、だめ……濱本ぉ……」


自分を呼ぶ声は自分しか知らないはずの快楽に染まった色を帯びているもの。

ふざけんな。

咄嗟に脳裏に浮かんだのは誰に対しての文句か……。
濱本は自分でも理解出来なかった。

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あきゅろす。
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