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09


鴉が鳴く夕暮れ時、エレンはいつもの鳥居に訪れる。鳥居には落書きがあったり赤い塗料が剥がれていたり、あまり綺麗とは言いがたい。鳥居は石で造った台を貫抜くように造ってある。


そして今日は先客が居るようだ。エレンはその人の横で立ち止まる。


「リヴァイさん…どうしたんですか?」

「何時も此処に座ってるだろ、どんな気分かと思ってな。」

「そうですか、あの…前はありがとうございます…今更ですけど」


エレンは少し照れながらハニカミ、頭をちょこんと下げ改まってお礼をいう。リヴァイは横目でながし、顔は前を向いている。


「本当、今さらだらな。で、なにかわかったか?」

「へ?」


質問の糸が掴めないエレンは間抜けな返事を返す。リヴァイはまたか、とでも言わんばかりの表情だ。


「前おまえが言っただろ、二度目会ったらわかると。」

「…嘘つきましたね、まだ、解らないです。昨日散々考えたんです、だけど好きとかわかんねえし…オレ…これからも貴方と会いたいけど…話したいとは思うけどそれしかわかんねえし…」

「…ハア、馬鹿だなそれを好きって言うじゃねーのか?」


エレンは何が何だか解らずとりあえず思ったことを吐き出す。するとリヴァイはため息を吐き出し、呆れた表情を見せる。


「…酷い告白だな、はじめて聞いた。」

「なっ!!」


しかし、リヴァイは一瞬にして楽しそうな妖しい笑みを浮かべる。エレンは顔を真っ赤にさせ、リヴァイを直視出来なくなる。


「まあ、お前がそう思うならそうでいいだろ。」

「へ?」

「またな」


リヴァイは困り果てるエレンの額にキスを落とし、何時ものように消えていく。エレンはあまりに突拍子なことに目を丸くしてボーとしてしまう。


気付いた時にはリヴァイの姿が無かったが、触れられた額は無駄に熱を持ち、手を当て下にうつ向く。


「…いきなり、なんなんだ」


額を何度も擦り、消えそうもない感触に戸惑うことしかできない。いつのまにか来ていた猫は不思議そうにエレンを見ていた。エレンはそっと二匹を抱き寄せ膝の間に入れ込む。二匹の温もりに笑みがこぼれる。


「オレ、どうしちゃったのかな」


二匹の猫は尚更首を傾げる。





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