06
自分が化け狐だと知ったのはとっても前だけど、白狐だと知ったのはちょっと前。暇潰しにと、アルミンがよく行く図書館に付いてった時、人間が興味本意で作ったくだらない図鑑を見て気付いた。
白い耳に二股に別れた白い尻尾。あぁ、なんて自分にソックリだろうとエレンは感じた。それもそこらの化け狐とはものが違うらしく、騙しのプロらしい。
果たしてこれがあっているか間違っているかはわからない。しかし、耳に軽く入れたことはある。
「アルミン…」
「なに?」
「オレってただの(化け)狐じゃないんだな」
「どういうこと?」
エレンは本を選ぶアルミンの隣で先程手にした図鑑をパラパラ開き、嘘か本当かわからない情報を呟く。エレンは図鑑を傾けアルミンの方へ見せ、アルミンはなるほど頷く。
「でも、今の今まで知らなかったなら大して気にする必要もないと思う。あ、ミカサには黙っておいた方がいいかも…」
「…そうだな、そうするか」
アルミンは気にしてないとカバーに入るが内心そうもいかない。正直なところ頭の何処かがモヤモヤしている。払拭したくて関係のないページを開き、アルミンに席取ってるからとつげその場を離れる。
(エレン、気付いちゃったのか)
アルミンは選んでいた本を片手に適当に取ると、貸し出し口にむかい、本を借りる手続きをする。本当は長々選ぶべきなのだろうが、エレンの顔を見たら気になって仕方が無くなった。
本を仮終えると、席を一周見渡す。エレンは恥の席に座り、図鑑を見ているんだろうがあまり乗り気ではなさそうだ。
エレンは席につきしだし、頭の何処かにあるモヤモヤの正体を探していた。自分が白狐であった以上になにか引っ掛かる物がある。よくはわからない。だが、貸し出しの手続きをしているアルミンを見てエレンはその正体を知った。
(アルミン、知ってたのか)
等の本人が気づく前にアルミンは先に知っていたようで、驚く様子がなかった。それに加え、何かを残念がっているようにも見えた。それはエレンが白狐だと言うより、白狐であることを気付いたエレンに残念がっているようだった。
暫くするとアルミンは二冊程本を抱え、戻ってきた。
「早いな、もう決まったのか?」
「案外いいのが手元にあったから、すぐだったよ。席取りしてくれたのにゴメン。帰る?」
「うん」
エレンはわざと早くきたアルミンに気を使わせたな、と思うが別に謝る気にはなれず席から立ち上がる。図鑑はかえすのが面倒で返却口に置いておく。
当たり障りなくあまり物事に首を突っ込むと、案外面倒な事になると知ったエレンだった。
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