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Geass×PERSONA3パロ
-6-

 ―――4月8日 朝

 「おはよ!ルルーシュ!」

いきなり後ろから声がしたと思ったら、その次の瞬間にはルルーシュはリヴァルに後ろかどつかれた。

「ほわああっ!」

前のめりになり、転びそうになるのをギリギリこらえる。

「…お前面白い驚き方するのな…」

リヴァルの口からは謝罪はなく、むしろ驚かされたよ、なんて言葉だった。

「う…うるさい!朝から驚かすな!」
「ただのあいさつだろー?」
「人の身体を後ろから押す挨拶なんて俺は知らん!」

ルルーシュの気分はすっかり害された。きつい一言を言い放ち、早足で学校に向かう。だが、リヴァルはすぐにルルーシュに追いついてしまった。

「なぁ、ルルーシュ知ってるか?最近流れてる噂!」
「噂?下らないな、そんなもの」
「いいから聞けって。一年の女子なんだけどな、学校来なくなって家でずっと壁に向かってるらしいんだ。で、その母親が声をかけると”くる…来る…”って呟くらしいぜ!怖くねぇ?!」
「あっそう」

ルルーシュは適当に返した。そんなもん、よくある怪談話で出てきそうな類の話、ただの迷信に過ぎないだろう。

「ぁ、お前信じてない?」
「すまないが、俺はそういったオカルトに全く興味がない」

ルルーシュは今度こそピシャリと言い、会話を切った。その場で立ち止まるリヴァルをよそに、ルルーシュは教室へ向かう。それと同時に、丁度予鈴が鳴った。

 ―――午後

 丁度最後の授業は国語だった。ルルーシュは、窓際の席。一応授業道具は広げているが、聞いてはいない。

「では、教科書を開いてくれ」

扇が生徒にそう指示する。が、ルルーシュは特に何もせず、ただぼーっと外を見ていた。

「…最初の小説は”葛西善蔵”か。…葛西もいいけど、俺は今窪田空穂が好きでな。歌人として有名だが、その随筆がかなりいいんだ。是非おすすめだから、葛西のが終わったらそっちをやろう。俺が持ってくるから」

そんな国語の教師に生徒は特になんの異論もない。よくあることなのだろう、ルルーシュはそう思うと同時に教師としてそれはいいのか、そっちが頭に引っかかった。

「…おい、リヴァル。お前人の話聞いてたか?」
「ぇ?は…はい!もちろんじゃないですか」

ははは、と軽く笑って見せるが、その隣の席であるルルーシュには目に見えない冷や汗が見えた。

「じゃあ、俺の好きな作家は?」
「ぇ?えーっと……あのですねぇ…」

リヴァルはルルーシュに視線を送る。それに気付いたルルーシュは軽く嘲笑し、仕方ないとため息をつくと、ノートの隅に答えを書いた。

「…窪田…空穂…?」

リヴァルは、知らない名前を読み上げるように…いや、知らなかったのかもしれないが、最後に疑問符をつけながら小声で答えた。

「なんだ、聞いていたのか!すまないな、疑って」
「いえいえ、俺マジメな生徒っすから!…助かったぜルルーシュ」

リヴァルは座りながらお礼をいった。本当は助けるつもりなどなかったが、昨日の案内の礼の代わりには丁度よかった。

 ちなみに登校二日目の授業はほとんど真面目に聞くことなく終わる。ノートもメモ書き程度だった。

 ―――夜

 ルルーシュは、寮の玄関の扉を開ける。そのすぐそばのソファには、見たことのない金髪の男が一人いた。

「ぁ、帰ってきました」

カレンがルルーシュをみてそういった。

「なるほど…彼か」

その男は腰を上げ、ルルーシュに近づいてくる。

「やあ、こんばんは。私はシュナイゼル・エル・ブリタニア。君たちの学園の理事長をしている」

ブリタニア。コーネリアと一緒だが、ミドルネームが違う。だが、ルルーシュはコーネリアの身内であることは理解した。

「理事長をやってはいるが、ここにはちょっとした用事でくることがあるんだ。よろしく」
「は…はぁ」

ルルーシュはいきなりの展開に、ただ立ち尽くすだけだった。そして、よろしくと差し出された手に、素直に答え握手をする。

「では、私はこれで失礼するよ」

シュナイゼルはそういうと、階段をのぼっていった。
 ルルーシュは、どこに行くのだろうと思っていたときに丁度カレンが察したのかその質問に答えた。

「理事長の用事は四階よ。そこで…ちょっと仕事をなさってくのよ」
「へぇ…」

一見、とても人がよさそうに見えたが、ルルーシュは裏に何かあるような気がしてならなかった。どこか、つかめない。

「ごめんね。本当はちゃんともう少ししてから紹介しようと思ったんだけど…突然だったから…」
「気にしてない。あの、シュナイゼルという人が理事長ということは、この寮や俺たちの学費なんかは…」
「えぇ、あの方が」
「そっか。後で改めてお礼をいわないといけないな」

ルルーシュはそういうと、部屋に戻った。仕事ということだが、まだカレンは隠していることを説明してくれていないことや、少し言葉に詰まっていた様子からただの仕事でないことは可能性として予測できた。
 実を言えば、今日何らかの説明がなされると思っていたルルーシュは期待はずれもあり、さらに謎を深められるだけで、ただ不快であった。

「…寝るか」

その日はとりあえず、シャワーを浴びてすぐに寝た。



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あきゅろす。
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