[携帯モード] [URL送信]

Geass×PERSONA3パロ
-1-

"時は、待たない 
すべてを等しく、終りへと運んでゆく 
限りある未来の導きを、守らんとするものよ
一年間――― 
その与えられたときを往くがよい
己が信じるまま、
緩やかなる日々にも、揺ぎ無く進むのだ"



 夜の街を彩るネオンの数々。夜を眠らせない街の音。しかし、その眠らないはずの街は一日の境で一度静寂の空間となり、その静寂の中でただ人の叫び声が木霊する。

―――2009年 4月6日 P.M.11:50

 タタン、タタンと一定の間隔、リズムでその音を刻む電車。終電であるその中に人は少ない。

「すっかり遅くなったな…」

ルルーシュは本を片手に窓越しの夜景を見る。もう日付が変わろうとしているのに、まだまだ街は明るく深夜という感覚を麻痺させる。
 ルルーシュは今とある寮に向かっていた。新学期からは、その寮からアッシュフォード学園に通うことになっている。

 ―――4月6日 P.M.11:55

 電車が目的地へと到着する。ルルーシュは軽い手荷物を片手に駅をでた。ここからは手紙に入っていた地図を頼りに、寮に向かう。大きな荷物は先に送っておいたのであるはずだ。

「ここを…左、か」

一歩一歩足をすすめる。だが、しばらく歩いていると町並みが突如不気味な雰囲気を帯び始めた。それにルルーシュは眉を顰める。

「…」

 街が、暗い。見渡すと街灯も近くにある時計も止まっていた。それだけではない、ありとあらゆる電機で動くものが止まっていた。ネオンの鮮やかな彩りは既にない。
 だけども、その暗闇の中をどこからか、黄緑色の光がぼんやりと覆う。
 ふと、空を見上げると、落ちてくるのではないかと思うほど不気味に巨大化した月が一つ。街にある光は、この月の光のみ。
 そして、その時計が指していた時間は0:00。

 ルルーシュは違和感を覚えながらも、さらに足を進める。こういうのは、何度か体験したことがあった。居心地はよくないが、少し慣れてしまった部分もある。
 あの10年前の事故以来、だが。
足を進めていくと、棺桶が縦にたった状態で幾つも道端に点在している。

「…」

その棺桶が一体何なのかは全く解らない。ただ、無秩序に点在するそれ。なんとなくそれは人がいる場所を示しているように思えたが、確信はなかった。
 ルルーシュはそんな光景を見ながら足を止めることなく、進めていった。とりあえず、今は目的の場所に到着しなければならない。

 しばらくすると、目的の寮の前についた。一呼吸おいて、ノブに手をかける。

「遅かったですね…貴方のこと、待っていました」
「!?」

エントランスに入った瞬間、声がした。その方向、左を向くと、緑色の髪が肩くらいまである一人の少女がいた。年齢は小学生くらいに見える。

「…誰だ?」

恐る恐るたずねるが、女はその質問には答えずこちらに足音もなく近づいてくる。

「私は…ただ、貴方に署名をしてもらいに来ただけです。ここに名前を書いていただけますか?」

そういって、少女はルルーシュにカウンターのテーブルにおいてある、ペンと紙を指す。

「名前?それをここに書いてどうする?」
「一応、契約の署名ということになってます。。契約内容は自分の行動に責任を持つ、それだけです」
「責任…?」
「そうです。それにここから先に行くにはその署名が必要になってきます。だから、どちらにせよ、書いてもらわなくてはならないんですけど…」
「…」

先に進むため。そう言われ、訳のわからない契約内容に少し戸惑うもルルーシュはそこにサインする。

「確かに」

そういうと、少女は月の光が生み出す更なる暗闇…その影の中に消えていった。

「…?」

ルルーシュは今あったことが、現実に起こったことなのか、それともそうでないのか、立ちつくすしかなかった。


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!