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破壊の因子
精神的疲労?
「ケイリ……KEYRI?」
「うん」

取り出した紙に名前を書くリンク。
喉が渇いたらしく、ケイリはきょときょとと辺りを見回して水差しを見つけると、顔を輝かせた。

「んで、歳は?」
「ん?……っと」

水を飲んでから、ケイリは答える。

「じゅう……なな」
「17歳なんだ。オレと同じだね」
「え?君、17歳なんだ……」

ケイリは遠慮なくリンクをじろじろ見る。

「どうせオレは童顔さ!」

いくら騎士の格好をしていたってリンクは13、4歳にしか見えない。

「ゴホン……とにかく、どうして倒れてたんだ?」

空咳をして、リンクは話を戻す。

「う〜ん……どうしてって言われても……」

ケイリは言いよどんだ。

「自由気ままに放浪してた、かな?」
「自由気ままって……しかも最後疑問系だし……」
「そうだ、どっか働けるところない?」

このマイペースな青年に、リンクは頭痛を覚えた。

「そろそろ路銀も尽きてさ、できれば食堂で働きたいんだけど」

机の上に置いてあるナイフをケイリは抜いた。

きちんと手入れされ、輝いているナイフは何でも斬りそうだ。

「そんなの知るか。……アンタさ、今まで旅してたってことだよな?」
「うん」
「んで、適当に歩いてたらハイラルに着いたってことでいいのか?」
「うん。ここ、ハイラルっていうの?」
「……それすら知らなかったのかよ……」

頭痛を堪えるように、リンクは頭を押さえる。

「あ、そういえば君の名前ってなんていうの?」
「リンク。……って何で答えてるんだろう……」

別に教えてはいけないというルールはないのだが、教えたことでケイリとさらに関わってしまうようで。

「……なんでこんなに疲れるんだろう……」

リンクは精神的疲労が確実に溜まっているのを感じていた。

一方ケイリは新しい‘友人’ができたことで気分が良かった。
鼻歌まで歌いナイフの状態を確認するとベッドに座ってリンクと向かい合う。

「リンク、これからよろしく!」
「オレがずっと面倒みるわけないだろ!」
「え……?」
「そんな目で見るな!」

上目ずかいでリンクを見るケイリはまるで小動物のようだ。

「……もう疲れた」

溜め息をついたリンクは、足元から微弱な振動を感じ、顔を上げた。

その振動はすぐに大きくなり、激しい揺れへと転じる。

「うわあっ!」

慌ててケイリはベッドの下へと潜り込んだ。
リンクも椅子から立ち上がり、すぐに動ける状態にする。

だが、振動は10秒ほどで収まった。

「またか」
「なにが?」

恐る恐るケイリは顔を覗かせた。

「最近地震が多いんだよ。それだけじゃない。嵐や水害とかもな」

ここに住んでいる人なら誰でも感じている。


最近ハイラルの様子がおかしいのだ。


誰かが「神の裁き」だと騒ぐまでに。


「そ、そうなんだ……」
「……とにかく、今は地震の方が先決だな。大体聞き終わったし……」

リンクは書き取った事項を確認する。

「んじゃな、もう倒れるなよ」
「うん、またね!」

ベッドから這い出たケイリは大きく手を振った。




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あきゅろす。
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