破壊の因子
道案内は……
「どうしてネクがここに?」
「……お使い」
心底嫌そうなネク。
でもそれは表面だけだ。
「それより、行き倒れたたんだって?」
「うん。……ハイラルって珍しいからさ、あちこち歩いてたら……」
照れ臭そうに笑うケイリに、ネクは溜め息をついた。
「溜め息をついたら幸せが逃げるんだよ?」
「……なら幸せになれそうにないな……」
どうやらネクはネクで苦労しているらしい。
「……あ」
ネクは空を見上げた。
つられてケイリも空を見る。
地震が起こったのはその直後だった。
テリクに案内され、リンクは森の聖域までの道のりを迷わずに進むことができるらしい。
「うわ……っと」
地震が治まり、リンクはひと心地つく。
「……んで、その怪しい人は何をしてるんだ?」
「彼ガ現レルヨウニナッテカラ、今マデミタコトモナイ魔物ガ森ニ溢レタンデス!オ陰デ僕タチは聖域ニ入レマセン」
テリクがまた歩き出し、リンクもそれに続く。
「そうなんだ……。で、デクの樹サマが亡くなるってのは?」
守り神というのは知っているが、枯れそうというのは聞いていない。
「ソノママノ意味デス。デクノ樹サマハモウ寿命ヲ迎エテイラッシャルンデス」
「寿命……」
それでは手の施しようがない。
「ア、着きマシタ!ココガ森ノ聖域デス!」
辿り着いた場所の少し先に、苔に覆われた建物がある。
「ここが……?でも、そんな怪しい人なんて……」
「留守ナンデショウカ?」
「ならラッキーだな」
「ソウハイキマセン!勇者サマに追イ払ッテモラワナイト!」
「うっ……」
だが人の気配は感じない。
「……分かった。この中を見てくるからお前はここで待ってろ。危ないと思ったら逃げていいからな」
「ハイ!オ願イシマス!」
飛び跳ねて喜ぶテリク。
リンクは溜め息をついて森の神殿の中に入るのだった。
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