おお振り文
スキって100回(阿三)


「三橋」
「な、なに?」
「オレのコト好き?」
「えっ…!?なっ、なっ‥」




「きゅ、急にっ、なにっ?」


三橋はきょどる。
目なんかおよぎまくり。

場所は校庭のベンチ。
これから朝練が始まる。
休日の学校は誰もいなくて。
ここにいるのはオレと三橋だけ。


「いつもオレは好きだって言ってるけど、三橋なかなか言ってくれないから」


そう、言葉が欲しい。
三橋の言葉が。


「は、恥ずかしい‥です‥」
「そりゃ分かるけどさぁ‥」


欲しいんだよ。


「―オレのコト好きなら‥言えるだろ?」


殆ど強制に近い。
だって欲しいんだもん。

唯でさえ自分の気持ちを伝えるのが不得意な恋人だ。
今までだって、ちゃんと好きだと言ってくれた回数は少ない。

情事の最中は素直なのに‥

オレは三橋にじりじりと詰め寄って目を捉えた。
三橋は震える。


「‥言えないワケ?」
「う‥うぅ…‥」


しまいには涙目。
オレが苛めてるみたいじゃん。


「‥もういいよ、だから泣くな」
「ふぇ…?」


欲しいものは涙じゃなくて言葉で
もっと詳しく言えばお前の気持ちで。

だからいいんだ。
強制的に言わせたって、その言葉には何も意味なんて有りゃしないんだから。


「悪かったな、もう言わない」


オレはベンチを立った。
そのとき花井が来た。


「うぃーっ、お前ら早いな」
「まぁな、たまには。」
「じゃオレもユニフォームに着替えてくっかな」

「あ、阿部くんっ!」


花井が着替えに部室に入って見えなくなった瞬間。
三橋にしては大きな声でオレの名前を呼んだ。


「なに?…っ‥!」
「っ………‥」


背伸びをして頬にキスされた。
たった一瞬だけど。


「す、‥ス、キです」
「三橋…」


三橋の顔は真っ赤っ赤。
それに涙目。
必死さが伝わってくる。



ああ、欲しかったのはコレだ。



「‥三橋」
「は、はいっ」
「オレも、好きだよ」
「おっ…!」

言葉なんかにしなくても
伝わって来る思い。

ちゃんと受け止めるよ



だけどたまには形にして欲しくて

だから








「あと、99回好きって言って。今日中にな。」
「うぇっ!?」







スキって100回。

―END―






*あとがき*
少し意地悪阿部くん(笑)
スキな子ほど苛めたくなるものなんですよね☆

三橋くんは照れ屋だといい!
そんな三橋くんを、抵抗出来なくなる位まで追い詰める阿部くんがスキですww



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あきゅろす。
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