おお振り文
アイスキャンディー(阿三)

夏の暑い中の部活。
へとへとの汗だくで。

三橋と二人きりの帰り道。
自転車を押しながら歩く。



「あ、暑いね」
「だな」
「アイス、食べたく、なるっ」
「コンビニ行く?」

オレも食べたいし、と近くにあったコンビニに三橋と入った。
きんきんに冷えた店内。

「おおっ、涼しいっ」
「アイスどれにする?」
「う〜‥」

悩み始める三橋。
なんだか可愛い。

「これもっ、いいな‥」
「早く決めろ」
「う、じゃあ阿部君と、同じの」

そう言って、アイスキャンディーを手に取ってお買い上げ。

外に出て、さっきと変わってない暑さに項垂れて。
買ったばかりのアイスキャンディーを口に。

「お、おいしいっ」
「うん、色違うんだな」
「オレのは、オレンジ味だ、よ」
「オレはグレープ。一口食う?」
「えっ、い、いの?」
「別にいいよ」

三橋の口にアイスキャンディーを入れた。
‥なんかエロい。
ただアイス食ってるだけなのに欲情してるオレは病気?

「お、おいしっ、あり、がとっ」
「おう」

アイスキャンディーを自分の口に戻す。
さっき三橋の口に入ってたんだなとか思いながら。

「あっ、阿部君もオレンジ味、食べ、る?」

あの食い意地が人並み以上の三橋がオレに自分のアイスをすすめてくれた。

「‥いいの?」
「う、うんっ‥」
「珍しいな」
「そ、そうっ?‥だって」
「あ?」
「阿部君と、もう一回、間接……キスできる、から」
「…………‥」

真っ赤になって三橋は言った。
もろストライクゾーン。

「‥三橋」
「うっ?」
「間接じゃなくてもいいよな?」
「ふぇっ?ぅ…っ…」

止まる足。
君の唇にキス。
オレンジ味と
グレープ味が
混ざってるような甘いキス。

「‥可愛いこと言うお前が悪い」
「か、可愛い!?」

オレはまた足を進める。
三橋は必死に付いてくる。

「あ、阿部くんっ、手‥」
「ん?あぁ‥」

手を繋いで帰る夏道。
隣には君の笑顔。



これがオレと君の夏。






―END―








*あとがき*
季節ネタです。
夏といえばアイス!
という管理人の勝手なイメージで書かせて頂きました。




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あきゅろす。
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