おお振り文
やくそくする!(阿三)*

このお話は『怒られたい!』のアベミハsideになっております。
先に『怒られたい!』からお読みになった方が分かりやすいと思います。











***



「今日、泊まりな」
「うぇっ…!?」


有無言わさない阿部君。
かなり怒ってる。
こ、怖いよ‥

暗い帰り道。
二人の影が伸びる。
いつもは歩調を合わせてくれるのに‥。
今日はすたすた先へ先へ、行ってしまう。

さっきの田島くんのキスに怒ってるんだ。
キスって言ったって頬っぺただったから。
だからこんな怒るだなんて予想してなかった。


「―‥あ、阿部、君っ」
「ナニ」
「あ、そ、の‥」


目が怖いよっ‥
逃げたいっ
でも怖いっ


「ナニ震えてんの」
「震えて、ナイ、よっ」
「震えてんじゃん。言いたいコトあんなら言いなよ」
「えっ、と‥泊まり‥」
「嫌なの?」


阿部くんの視線に、オレは頷くことなんて出来なくて、首を横に振った。






***


「―‥で、何でオレ怒ってんのか分かってる?」
「た、田島くん‥」
「何でキスなんかさせてんだよ!オマエ無防備過ぎなんだよ!」
「うぇっ‥」


阿部君の部屋に入った瞬間。
正座をさせられてお説教。
阿部君の眉間のシワがコワイ‥


「今回だけの話じゃねェぞ!普段の生活から無防備過ぎ。いつも見てて冷や冷やすんだよ」
「あ、阿部く‥」
「叶のコトだって、許したワケじゃねェんだぞ‥」
「ご、ごめ‥なさい」


阿部君の切なそうな顔にオレも悲しくなった。
なんか、なんか‥
涙が出てきた。








「‥うっ、ごめっ‥ぅ」
「ちょっ、三橋!?」


何で急に泣き出すんだ?
オレ、キツ過ぎたか?
いやいや、これ位言わなきゃダメなんだ。
無防備なのは困る!


「ナンで、泣くんだよ?」
「だ、だって‥オレ、阿部くんをっ‥傷付けたっ、から」
「三橋‥っ」


‥そりゃあ傷付かないワケないけどさ。
だけどそんな泣かれたら‥
キレるにキレられねェじゃん。


「‥もう泣くなよ」
「ご、ごめっ‥」
「もう分かったから」


あーあ。
オレ、三橋に甘過ぎ?

オレ、コイツの涙に弱いンだよな。

「怒って、な、い?」


そんなうるうるした目
反則だって。


「ナイよ、もういいよ」
「あ、阿部くっ‥」
「み、はしっ!」


急に抱き付かれて驚いた。
いつもの三橋からは想像出来ぬ、積極的さ。


「‥もうこれから誰かにキスされるとかナシな?オレだって傷付く。」
「う、ん!」


三橋が擦り寄って来た。
‥可愛い。
ヤバ、我慢出来ねェかも。


「あ、べ君っ、スキ、ですっ」
「三橋っ‥」


とどめの一撃。
笑顔で「スキです」‥
もう完敗、降参します。


「三橋、オレのお願い聞いて?」
「なんでも聞く、よ!」
「‥言ったな?」
「うぇっ‥?」
「オレに食べられて。」
「うおっ‥!?」


三橋とベッドにダイブ。
沈む身体。


「い、いきなりっ‥」
「何でも聞くって言ったじゃん」
「う…っ」


最初は額、次は頬、最後は唇にキスを落としてく。
三橋は擽ったそうに目を瞑る。


「阿部、く…っ」
「キスだけで固まンなよ」


阿部くんの手がオレのズボンの中に入って来た。


「うぁっ‥あっ」
「口でシテ欲しい?手がイイ?」
「そんなことっ‥っ」
「言って、聞きたい」


‥阿部くん、意地悪だ。
すごい楽しそうだし‥


「い、言え、ないっ」
「言え」
「や、む、りっ‥」
「‥三橋?」
「う…‥」


阿部くんの輝く笑顔。
無言の責め。


「‥ど、っちも‥お願いしマス」
「両方?欲張りだな」


阿部くん、絶対性格悪い
うん、絶対。


「ヨくしてやる」
「うぁっ‥あ!ゃあっ」
「気持ひい?」
「喋っちゃ、やあっ」


阿部くんの口内でびくんと感じてしまう。
阿部くんの舌は器用。
オレは快感に身を委ねるだけ。


「んっんっぅあっ‥や、もうっ‥イクっ…」
「次、手な。」
「うぇっ‥」


もう少しの所で口を離され、今度は手で玩ばれる。
イイ所ばかりを触られる。


「ぅあっ、あっ、ぁ」
「イキたい?」
「う、んぁっ、ふぁ」


オレは何度も頷いた。
だけど聞いてくれるわけなんてなくて。


「じゃあオシマイ、まだお預け」
「お、お、おあずけ‥」
「ああ、お預け。」


ペ、ペットみたいだ‥


「ナニ呆けてんの?」
「ぅあっ!」


いきなり後ろを指でぐりぐりされて大きな声をあげてしまった。
侵入してくる阿部くんの指を、拒めない。


「ぅあっ、あぁ…ふ」
「中キツイ」
「んぅ、ゃあっ」


一本から二本に、二本から三本に指が増やされて、もう声をあげるしか出来なくなる。


「んっ、んっ、もぅっ」
「ナニ」
「ぅはっ‥イキっ‥たいっ」
「そういう時はどうするって教えた?」
「ん、お願、い‥しますっ‥」


涙が頬を伝う。
早く欲しくて堪らない。


「ん、イイ子、今やるよ」


阿部くんの熱っぽい声に、もっと欲しくなっちゃった。
阿部くんはどこからかゴムを持って来てそれを着けようとしていた。


「も、早‥くっ」
「ちょっ、待てって」
「いいからっ、もぅやぁ‥」
「…知らねェからな」


阿部くんは俺を組み伏せてオレに自分の欲望を宛がった。


「挿れるぞ‥」
「ふぁっ‥あ!あぁっ」


熱い圧迫。
止まらない声。
オレはシーツをぎゅっと握った。


「‥ん、肩、手回せよ」
「ぅんっ、ふっ‥動いてっ‥いい、よっ!」
「言われなくても」
「ぅあっ、んぅっ!」


阿部くんがオレの奥を突く。
気持ちよくてクラクラする。


「失神、すんなよ‥?」
「ふっ、はっ、はっ」
「爪、立てていいから」
「んんっ」


そんなこと言われても出来っこないよ。
阿部くんを傷付けるなんて。

オレは回していた腕に力を入れて、阿部くんを引き寄せた。
阿部くんは驚いて目を丸くしたけど、オレは構わずキスをした。
無我夢中に。


「ふっ、ふぁっ‥」
「っ……‥」


舌と舌を絡ませる。
飲みきれなかった唾液が口の端を伝った。

こうしてないと失神しそうだから。


「んっ‥ぅ、ふっ」


阿部くんの腰の動きに翻弄されながら限界が近付く。
腰が勝手に揺れて
眉間にシワが寄って。


「っゃ‥っ‥‥!!」
「っ…………」


失神しないように舌を絡めたまま達した。
身体がびくんびくんと震える。
阿部くんが中で弾けたのが分かって安心する。


「…みはし…」
「………あべ、く…」
「……すき」
「…お、オレ、もっ」


二人してベッドに項垂れた。


「もう、誰にもキスされんなよ?約束な!」
「う、うんっ」
「もし破ったら‥」
「やぶっ‥たら?」


阿部くんの沈黙の笑み。










やくそく、絶対守る!
田島くんの言葉を借りるなら
ゲンミツに!



―END―






*後書き*
久し振りの更新なのに駄文、申し訳ないです(;_;)
『怒られたい!』と同じく、お友達サイト様との語らいの中で生まれた話ですv





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