おお振り文
始まり(阿三)


「―‥三橋」
「あ、阿部君‥な、に?」

今日も部活が終わり、
オレは着替えながら同じく着替えている三橋に話し掛けた。

「今日三橋んち、行ってもいい?」

オレがそう言った瞬間
三橋は涙目になって慌て出した。

「えっ‥と、大丈夫、だと‥思う、けど‥その‥えっと‥」
「けど、なに?」
「何で、いきなりっ‥」

三橋の目は泳ぐ。

「なんとなく。」
「なん‥となく?」
「別に普通だろ?友達の家行くの」
「何の話だあー?」

そこに田島が入って来た。

「えっと‥オレんちに、阿部くんが‥っ」
「ふーん、三橋んちに阿部が遊びに行くのか。オレも行きてぇな〜」
「‥………」

それは避けたい。
だって今日俺が三橋の家に行く理由は…

「たっ、田島くんも来ればっ?この前みたくっ‥キャッチ、ボール‥」
「キャッチボール?何の話だ?」
「ああー、この前オレ、三橋んち行ったんだよ。そんでキャッチボールした」

何だよ、三橋の奴。
田島とは個人的に遊んだりしてんじゃん。

やっぱこいつら仲いい
‥面白くない

面白くない理由は明確。
オレが三橋のことを好きだから。

「あーっ、でもオレ今日は早く帰んなきゃならないんだ。ごめんなー三橋」
「えっ、あっ、うん‥また‥今度‥」

田島が来れないことになって少し落ち込んでやがる

「俺と二人は不満?」
「えっ…?」
「いや‥何もない」

三橋が聞きそびれてくれて良かった。






***


…………‥

「―‥三橋」
「なっ、な、なにっ?」
「どもり過ぎ」
「ご、ごめっ‥なさい」
「謝れなんて誰も言ってねーよ」

三橋の家に着いて、かれこれ20分が経つ。
三橋は固まってるし
沈黙は続くし

「三橋ってさ」
「?」
「オレといて楽しい?」
「え……‥」

こいつオレといるといつも固まってるし、表情固いし、涙目だし。

「田島といる方が楽しいだろ?」
「なっんで‥そんな」
「ただそうなんじゃないかって思ったから聞いてみただけ」
「……………そんな」
「あ?」
「っんなことっ、ないよ」

三橋は俯いて言う。

「オレっ、阿部くんのことっ‥スキだしっ」
「…………」

真っ赤になって
涙目になって
そんな事言われりゃたまったもんじゃない。
我慢も余裕もねえよ

「―三橋」
「っ?」
「スキ。」
「っ‥!!!」

オレは三橋の唇に1つ
キスをした。

「えっ、な‥あ、阿部く」
「スキなんだよ!お前が」
「え!?あ、阿部くっ」

戸惑う三橋。
そして沈黙。

…………
「―‥阿部、くん」

三橋が沈黙を破った。

「す、すきって‥その」
「投手としてじゃない」
「じゃ‥と、友達?」
「お前鈍い。友達としてだけだったら‥キスなんか、しない。」

好きなんだよ
恋愛感情として。

「‥急に、ごめんな」

こんな気持ち、迷惑に決まってる。
バッテリーには必要ない、こんな気持ちには。

「‥な、んで謝る‥の?」
「こんなこと言われたって迷惑だろ?だから」
「迷惑なんかじゃっ、ないよっ!」

三橋が強く言うことなんて少ないから少し驚いた。
‥期待、してしまう。
馬鹿みたく。

「お前、オレの言ってること分かってんのか?恋愛感情で好きだっつってんだぞ」
「分かっ、てる」

三橋と目が合う。
オレも三橋も反らさない
反らせない。

「‥期待、するぞ?」
「期待…‥してもっ‥…ぃぃょ」

消え入りそうな声で、
そう言われる。
心臓がうるさい。

「―‥阿部くんが‥オレもスキ、だ」

震えた声で
濡れた瞳で
三橋はオレを好きだと言った。

‥夢かと思った

「‥同情とか、そんなのいらないからな?」
「同情なんか、してない、よっ」
「本当にか?」

うんっと頷く三橋。

「―‥もう一回、好きだって言って」
「す、スキ。阿部くんが、好き、だよ」

夢じゃ、ない

「‥オレも好き、好きだよ、三橋」

オレは三橋を抱き締めた
三橋はなすがまま

「今日からお前、オレのものだから」
「阿部くんのっ?」
「ああ、この手も肩も、髪も唇も。」

三橋の唇を指でなぞる。
三橋は目を瞑った。

「‥好きだ」

オレはそう言いながら二度目のキスをした。

「オレも、スキっ」

三橋が笑顔で言うもをだから、オレはまた誘われて
三度目のキスをした。









―END―






*あとがき*
アベミハ初書きです。
駄文失礼しました(/_;)/

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