第七章 番外編「その時、女は」
暗い部屋に灯りが点き、若い男が入ってきた。
入って来るとコートを脱いでハンガーに掛ける辺りから、ここが彼の自室であり彼が泥棒等ではない事が判る。
他人の家で其処までゆっくりと仕事をする肝の座った泥棒が居れば別だが。
虫も殺せない様な彼にその様な事は出来ないだろう。
この話は今彼が帰ってから2時間前に遡った所から始まる。
――――――――――――START
彼女は部屋の中に急いで入って来た。
誰かに終われて居るのかドアの鍵を三段階に施錠して、窓と言う窓の鍵もしっかりと締め、カーテンまでも締め切ってしまった。
其処までして漸く落ち着いたのか、彼女はリビングに置かれたソファーに座りテレビのリモコンを手に取った。
「ああ、とんでも無い事になったわ…」
テレビを付けながらも、彼女は自分の失敗を悔やむかの様にしきりに独り言を呟いていた。
彼女は彼の部屋に偶々あったナイフと彼の親族を巻き込んで、とんでも無い犯罪を企て今し方失敗して来た所だった。
始めの車で轢き殺す作戦が失敗した時から何かがおかしいとは思っていた。
が、学校に潜ませた21人もの伏兵が一度に始末された時には、彼女自身信じられないと言わざるを得ない気分だった。
実際、たった1人の男に20人を殲滅されたのだから、有り得ない光景と言っても他言はなかったのだが。
それでもリーダー格の男がナイフを間違えなければ成功していた筈なのだ。
「(ああ、ヤバいわ…ヤバいわね…)」
もはやテレビの音など彼女の耳には雑音程度にしか届いて居なかった。
ただ一度の失敗を侵しただけならもう一度違う作戦を企てれば良いが、それを1日で全てやった後なのだ。
通常なら失敗する筈のない失敗が4度も失敗している。
普段は普通の高校生である彼女に、そんな図太い神経などなかった。
むしろ普通より気が小さい方だ。
「(ああ、こんな事なら彼の財産を奪う何て考えなきゃ良かった…。)」
彼女は始め、"彼がそこそこお金持ちなのだな。"程度にしか思っては居なかった。
元々、彼の財布ではなく性格に好意を持っていた筈だった。
しかしある時彼が病院に行くのを見て心配し、こっそり着いて行った先に悪魔の言葉が待っていた。
"彼が資本家の次男で長男とその妻はもう直ぐ病死してしまう。
後に残った野蛮な1人娘が心配だから、彼に全て任せたと。"
その様な話しをつい立ち聞きしたのが始まりだ。
それさえ聞かなければ彼女と彼は共に良き夫婦であれただろう。
しかし、頭のいい彼女はその場でその娘を殺す策略を考え付いてしまった。
それを行うには決定的な道具が無い上に、彼への想いもあった為その場では何とか思い留まった。
が、運命とは皮肉な物で、彼の素性を探っていた親族の一部にそそのかされ、ついその事を話してしまった。
それでは。とナイフと人員の話を持ち出され、彼女の運命は狂った。
部屋の時計はとっくに15時を回っていた。彼女が此処に来てから2時間は経過している。
一時は落ち着いていた彼女も、いつしかガタガタと忙しなく震え出し、リビングとトイレを何度も往復していた。
そろそろ、警察か昼間の黒服達が押し掛けて来るのでは無かろうかと気が気でないようだ。
もちろんこの時彼らは会議を開いていたので来るはずも無く、警察の方でも内密に処理されていたので此方も無かった。
そんな事を彼女は知る由もなく、ただただ怯えてその場所で縮こまって震えていた。
《ザーザープッン》
不意に目の前のテレビが異音を発して、画面が黒一色に染まった。
あえて言うがそれはブラウン管テレビなどでは無い。
しかし彼女の目にはテレビの中に映った自分が、見覚えの無い若い男しか見えて居ない。
鍵は全て閉めた筈だ。
しかも此処はマンションの一室。場所で言うと8階建ての4階に位置する。
下は愚か、上から侵入等できる筈はない。
そこから本当に全ての鍵を閉めたかという考えに移る前に、彼女はハンカチに含まされた薬品の匂いで気絶した。
気が付いた時彼女は、テーブルの上で寝て居た。
ただし両手両足をテーブルの足に結びつけられ、服がはだけた半裸状態でだ。
ぼやけた頭で現状把握をしようと試みるが、自分が裸であるのとテーブルの上にいる事ぐらいしか判らぬまま男が再び現れた。
どこから持ち出したのか、透明のアクリルチューブやエアーポンプ、青いホース、ピンクローター、透明なディルド、野菜や果物、液体の詰まった瓶等を部屋一杯に積み上げて行く。
自分が今からどういう目に遭うのかなど聞くまでも無い。
全て自分が考えた犯罪の計画の中に組み込まれていた道具だ。
「ひっ。い、いや…止めて…お願いだから…ねぇ…」
この状態で逃げる術など有るわけはなく、縄の縛り方まで自分の想像していた物と同じである為、余計に逃げる策略など考える事が出来ない。
これは"どうすれば逃げられないか?"と、"どうすれば逃げれるか?"の両面性を自分が取り入れたフィールドだ。
容赦なく男が手にしたアクリルチューブがパンツの下から尿道に侵入した。
「ぎっい…くっ……ぐぅう!……ガッあ」
完全に膀胱まで達した痛みが下腹部から走り、彼女の体が少し浮く。
続けて二本目が挿入され始める。
「なあっ!? いっ…いや、入らない! 入らないから! あああ、ノボってくっ…ぐうう…ああ…うぐっ」
細いチューブ故か二本目は案外始めほど痛みは感じられず、思いの外簡単に挿入された。
尿道と言えども、それなりに入るスペースはある為だ。
「くっ…はぁ…イ゛ッ!?」
だがいくら入るスペースがあるとは言え、三本目四本目となれば少々無理がある。
先の二本を上下に広げ、漸く入るスペースを拗らせた男は、二本一気に埋没させた。
当然、尿道が裂けて血と共に激しい痛みを伴う。
「あ゛があ゛ああ! 痛い痛い痛い! 止めっ抜いて抜いて抜いて抜いて抜いてえええ!!」
血が潤滑油となり、穴の中を傷付けながらも尿道を進んでいく。
流石に膀胱の口も受け入れきれないのか男の手が一瞬止まったが、それも束の間。
彼女の甲高い叫び声が部屋一杯に響き渡った。
「…っぎゃああああああああ!!」
付けられたままのパンティからは血の染みが広がり、四本のアクリルチューブからは黄色い汁を垂れ流す彼女の姿は、まるで新種の生き物のようだ。
尿道を尿が通るいつもの感覚は伝わって来ず、膀胱の入り口を自分で引き締める事が出来ない彼女はそれを垂れ流しにするしか術がない。
力無く彼女は男に助けを乞う。
「あああ…、いやああ…止めてよ…お願い……止めて」
叫ぶ度に膀胱が圧迫され、尿が溢れ出す彼女。
男はそれの助けが聞こえないのか、無言で次の作業に移った。
男は黄色い箱から取り出した接着剤の先端を尿道に挿入し、中身を半分注入した。
そうして、残った半分を外に塗る。何度か引っ張ったり押したりしながら接着を確認する。
「うっ…ひぃい…やめぇ…」
次にアクリルチューブを分管機に繋いで行き2つの管にすると、片方を1台のエアーポンプにセットした。
もう片方は栓がされる。
スイッチが入ると、三本の管から空気が送り込まれ、痛みを伴わない侮辱に少女は不快感を訴える。
暫くして限界まで膨らむと、今度は栓が抜かれ、膨らみながらも尿が抜けていくという侮辱に移った。
「ひいい…もうやめて…」
自分の体を玩具にされた少女はただ泣き声を上げる事しか出来ない。
暫くして尿が出なくなると、今度は尻穴に小さな機械が詰められた。
詰められると言う表現の様に、それは一つではなく幾つも存在した。
コードレスタイプのそれは、一度其方の穴に射れてしまうと、外からは出すことが難しい。
それを考慮して彼女が制作して貰った物だった。
「そ、そんな…! いっ…いっ…ひやああああああああーっ!!」
一気にスイッチが最大にされ、大腸の中を生き物の様にそれが一斉に動き出した。
一つでもそれなりの威力が出る様に改造されたそれが、数十個。
外側からでも動きが判るほどの激しさだ。
「――――! ―!!! ――――――!!!! ――!!!」
何度も、何度も、何度も、テーブルの上で、釣り上げられた魚の様に少女の体は跳ね続ける。
そこに男は大きなビー玉を挿入し、青いホースを深く挿入した。
自らの腸内からの圧迫感を覚えながらも、声も出なほどイき狂った彼女はただ跳ねる事しか出来ない。
「―――!? ――!?」
部屋はホースが貫いた尻穴の周りに付けられた接着剤が、即乾いてしまうほどに熱気が漂っている。
そんな室温であるにもかかわらず、男の表情からは何も伺えない。
男はさながらまるで少女をじわじわと殺すことだけを忠実に行う、冷酷な殺人鬼の様だ。
暫くそのまま放置すると、男は機械のスイッチを切ってどこかに歩いていく。
其処には、口から涎を垂れ流し、目から溢れる涙、陰部から噴き出す液体とでテーブルをどろどろに汚す彼女だけが残った。
「ふぁ…ああ…うぐっ…」
憔悴しきった彼女の目に、男が居ない部屋が写し出される。
台所の方へホースが続いているが、首を動かすのもままならない少女からは確認する事は出来ない。
暫くすると腹部に圧迫感を覚えた彼女が、力無く呻いた。
男が少しずつ水を流し始めたのだ。
水で腸壁にぴったりフィットしたビー玉が押し上げられ、同時に老廃物とローターが小腸へと押されていく。
それは外からでも確認出来る程。
"そこ"からビー玉が小腸と大腸のつなぎ目に移動したのを確認した男は、水を止めてローターのスイッチを再びいれる。
小腸にびっしり詰まったローターが波打ち、少女に快感を再び与え始めた。
声にならない叫び声をあげながらビクビクと跳ねる少女は、最早男の玩具だ。
「っ――!!」
それを堪能すると男は掃除機を取り出し、ホースを根元で切断した。
そうして、彼女の尻に掃除機の吸い込み口をあてがい、"強"までスイッチを上げた。
「√%◎#&→※▼♂÷∴×≧§■∠∪≪∽ー!!!!」
訳の判らない悲鳴を上げながら、彼女は一層跳ねる。
少女は今、体が内側から吸い出される様な痛みを感じていながらも、ローターが蠢きながら掃除機に吸い取られていく快感に溺れている。
中の物を全て掃除機が吸い出すと、男はスイッチを切った。
人間の構造的に通常なら有り得ない事も、この男は成し遂げていく。
再び男が居なくなる頃には彼女の意識は飛んでいた。
次に起きたとき、彼女は別の部屋に居た。
それは、彼氏が助けに来るという儚い希望が叶わなかった証拠でもある。
下腹部のホースとアクリルチューブは未だに健在している。
これ以上のメニューは少女の企てていた計画以外の物だ。
あれだけの責めを受けてまだ正気で居られた事を少女は悔やんでいた。
いや、これが彼女の妄想が起こした物ならば、既に正気ではないのかも知れないが…
しばらくボーっと室内を眺めていると、何処からかあの男が現れた。
相変わらずの無表情さである。
「…もう、殺してよ……」
しかし男は、力無く呟く少女の顔の横に、果物や野菜等を並べるだけだ。
選べと言うことだろうか。
ひとしきり並べ終わると、男はじっと少女を見つめたまま静止した。
それを眺め返していた少女は、ふいに呟いた。
「選ばせてくれるなら…始めは柔らかい物がいいな…わたし、未経験だし…」
少女は純潔だった。
彼氏とは家は知っているものの、一度もそう言う関係にはなった事が無かった。
だから、少女の計画には彼の姪の純潔を奪う予定は入ってはいなかった。
自分自身も、彼と交わらぬまま死ぬのならいっそ純潔のまま死にたかったから。
男は暫くそのまま聞き流す様にしていたが、ふいに立ち上がると片手に苺やシロップのチューブを両手一杯に抱えて戻って来た。
「あは…それを下の口で食べるのは洒落にならないよ…くっ」
特に痛みも無いが、次々とまだ青い苺が膣内に入れられ、不快感が与えられる。
10個ほど入っただろうか。男はチューブを膣口に当てて、注入し始めた。
「やっ! う…っ…くひぃ」
一本丸々注入し終わると、男は再び苺を挿入し始めた。
5つ目に鈍い痛みが下腹部に走った。
膣口から垂れるシロップに、苺とは違う赤い液体が混じり始めた。
全て入れ終わると、下腹部は少し膨らんで見えた。
処女を失ったショックを受けながらも、漫画やアニメのようにべらぼうに膨らまない事に安堵していた。
それも束の間。
「え…!? ちょっ…まって…始めはっ…いっ!?」
少女は膣内にハンドミキサーを無理やり挿入された。
少し膨らんだ下腹部が、ハンドミキサー型に変化した。
容赦なくスイッチが入る。
「イギァアアアアアアああああ゛アギャアアアアアアアア!!!! シ゛ヌ゛ゥウウウ!!!」
ハンドミキサーが膣壁を抉り、血が少女の内股や白い肌に飛び散る。
今までと違い、快感を伴う物ではなく、純粋な痛みが少女の体を支配する。
そのまま男は回転したままハンドミキサーを引き抜くと、そこにラムネの瓶を傾けた。
「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!」
炭酸は傷口に染みるが、それを内側からしかも敏感な部分に受けたらどうなるか。
実行するまでもなく、絶叫物だ。
考えただけでも鳥肌が立つような行為を、少女は身を持って実感した。
「ぐあ゛! あ゛! あ゛づ! あ゛…」
続けて柑橘類が絞り込まれる。
ラムネを飲む口でそれ食べた。とだけ表現すれば、少し季節がおかしいぐらいで済むが、これは違う。
下の口から食べたとなれば、季節とかではなく。頭がおかしい人間が行う行為でしかない。
そんな男からの終わることの無い拷問を、人知れず受け続けた少女は
助けを求めても誰も助けに来ることはなく、
身が割かれようとも介抱すらされず…
1年後、彼女は仁志の部屋のクローゼットから見つけられた。
その時少女は記憶を失い、第二の仁志と言われる程の性格に成り果てていたそうだ。
不可解な事に包丁やまな板等の調理器具に一切触れる事が出来ないという。
そして果物を一切食べたがらないそうだ。
医者曰わく、精神的な物だろうと言うことだ。
余談だが"ソラ"と言う単語を出す度に強い拒絶反応を示すために、私は現在"クウ"と名乗っている。
恐らく精神的な物ではなく"アレ"が原因であろうと私は思う。
――――――――――――BAD END
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