第八章 番外編「MISS」
相変わらず気色の悪い笑みを浮かべる男は、焦ったような表情は一切見せなかった。
それもそのはずで、俺が一人の少女を送ったのは数ある世界の内の何処かだからだ。

この装置は転送装置としては完成品だが、時代や場所やその他の条件が曖昧だ。
男はそれを知っていて、あえて自分が乗らずにいた。

「さて、残ったのは小娘一人だけですか?」

俺が此処に来た理由は少女を逃がす為であり、機械が世界の歴史に被害を及ぼさない事など予め判っていた。
その点、世界は上手く未来を作っていると言えるだろう。

運命なんて言葉があるが、人とは必ず見えている結果を知りたがる物で、実際に運命とは自らが掴んだ現実とそう大差は無い。

こうなる事を予想していたし、そうする事でしか回避出来ないとは判っていた。

「その小娘に80%もの機械が止められたんだ。
 ちょっとは敬意を称してくれてもいいんだぜ?」

だが、時には世界の望んでいないスパイスが現実には含まれている。
運命にスパイスが掛かる事で、少し変わった世界を楽しむ事もあれば、嫌な目に会うこともある。

だから、現実世界なんて物は嫌いだ。

「そうですか。では、敬意を称して"アース"と言のは如何ですか?」

俺はその単語を一瞬疑った。

何故今まで使用していなかった物が、今更現れるのか理解出来なかった。

自分に取ってそれはゴムの次に苦手な物であり、場合に寄っては致命傷に成り兼ねない。
ゴムはともかく、そんな物はこの島の80%の機械の一部にだって使われては居なかった筈だ。

「はっ…? アースがどうしたって?」

俺がその単語に反応したのを見て、俺は嬉しそうな表情を作った。
白衣のポケットからリモコンを取り出した男は、そのまま無言で何かのスイッチを押した。

同時に天井から怪しい紐の様な物が垂れ幕の様に展開された。

それはさながら宙づりになった人間の腕のようである。
先端は洗濯挟みの様な物が付いている。

「アースとはアースですよ。見た所、君は電気しか使えないようですねぇ…
 あの小娘の持っている銃に壊されては困るので使わなかったのですよ。残りの10%…君に壊せますかねぇ?」

リモコンを操作しながら男は喜々として話を続ける。
その間にもアースは襲っては来るが、攻撃が吸収されているので避けるだけしか出来ない。

「おやおや、見た目通り過ぎて面白くないですよ?
 死にたく無ければ、もっと華麗に逃げ惑いなさあい」

体が電気で出来ている自分には、それに触れる事はできても長い間掴む事が不可能だ。
掴むか掴まれるかしてしまえば、そこで終わりだ。

逃げようとも思ったが、ゴム性の扉がそれを拒んでいる。
先程から気付いていたが、男もゴム性の何かを持ち歩いている様だ。

何度目かの攻撃を避けた時に、後ろの機械に気付かずにバックステップを踏んでしまった。

「く…っ!?」

背中に物が当たった事に気を取られ、即座に挟みを避けることが出来なかった。
そのまま左手を挟みで引き上げられ、空中で残った右手と両足を掴まれてしまう。

まさに絶体絶命だ。

簡単に捕まったおれを見るや否や、
男がやらしい目付きで俺に質問を投げかけた。
つくずくカンに障る男だ。

「鬼ごっこはもう終わりにしましょうか…?
 次はお医者さんごっこが良いですか?」

唾を吐きかけたい気分だが、口を開くと目前に迫るアームが襲い掛かるだろう。
黙ったまま男を睨み付けると、男は何やらリモコンを置いて基盤を操作し始めた。

カタカタと操作が行われるにつれ、俺の身に纏う服装が解かれて行く。
主に下半身だけだが…

「なっ…なにをするっ!? うあっ??」

不意に下着の上からの圧迫感を覚えた。
視界を下にやると、自分の太腿並のコードが股の間にある。

慌てて両足を閉じようとしたが、別のコードにより絡み付かれたまま固定されている。

「ぐうう…やめっ…ろ! そんなものをっ!」

下腹部に力を入れながらも何とか引きちぎろうとするが、無駄な場所に力を使っている為か思うように切れない。
ましてや、アースに電気を奪われているとなれば尚更、普段より力は入らないのは当たり前だ。

コードがめりめりと体を引き裂きながら膣に入らんとする。

俺の秘部を貫こうと、硬い機械がよりいっそう力を強く込めた。

その痛みで、一瞬、力が緩んでしまった

「い……………っぎう! うあああああああああ!!」

膣内を食い荒らしながら、極太いコードが胎内に侵入してくる。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

コードは一旦奥まで完全に貫くと、中をえぐり取るように体を引き抜いた。
身体の内側が外側と反転してしまったかのような痛みが前進を駆け巡る。
「イギアァアアァ――――――ああああぁぁ…いぅ!?」

そして、再び膣内にコードが一気に侵入。
声にならない叫び声を上げながら、俺は素体が女であることを始めて後悔した。

痛がる俺を楽しむかのようにそれはピストン運動を始める。
更にもうひとつの穴に同じかそれより大きいかぐらいの物が触れる。

「いだい゛! やめ…うぐぁ! っがぁ!! い゛らい゛の゛!
 やっ…い! めぇ…あああ!!! そっ それはあぐっ!…や―――」

内側で二本のコードがコスレアウ
イタミシカツタワラズ、快楽ナドナイ

「うああああアアああ゛あ゛!!!」

とうに裂けてしまった両穴から流れ落ちる血が、内股や機械を濡らしている。

「さ…け、…る! こわ…れっ! らあ…っ!! アアアア!!」

とうに頭は痛格覚に支配され、身体は壊れている。

「ぃあ゛あ! あぐぅ…っぎぃ! つか…な、ぅぐ! いg…あああ!」

判っている。判っているが壊れた頭は叫び続ける。

膣内を破壊するコードは物凄い速度でピストン運動を繰り広げ、お尻を犯すコードは大腸にまで達して外からもその様子が伺える。

突如としてそれらの動作が全て停止した。「くっくっく。そのまま壊れて行くのも見物ですが、少し趣向を変えてみましょうかねえ?」

別のコードからぬめりのある液体が噴出した。
それが前進に塗りたくられる。
直ぐに塗られた部分からほてってくるのが判った。

いつの間にかあれほど身体をいたぶっていた激痛が快感に変わっていた。

「ひゃあ!? なゃっ…なんだ、か、身体が…!!」

男が再びスイッチを入れると、先の物が同じ様に身体の中に収まった。
が、

「うあ…あっ…ああっ…! いやああっ!」

それからは別の感覚が脳を支配した。

「…ひゃん! う、っくぁ! ふあっ! あう!」

何かが身体のそこからわきあがってくるようだ。
なにかはわからないけど、きっとしちゃだめなことだ。

「はぅ! いっ…いああ! いくぅ…! なにかっ! でてく…っ!」

だけどとめられない

とめられないの

あたま…まっしろになっちゃう

「ゃああああ!! あっあ…! うあぁぁ…っ」

からだがビクッとはねて、
きかいからでるはずのない、
ぬめぬめした、
あつくほとばしるえきたいが、
しきゅうこうにうちつけられ、

…………………………
……………………………………
……………………………………………

と、言のは如何だろうか? と聞く。


どうもこうもあるわけがない。
言えるとしたら、相変わらず脳みそが腐っている。


いつも話を聞かせる彼だったらそう言ったに違いない。
が、今回は違う。
今日は趣向を変えてみて、実は本人の前で言ってみたのだ。
結果は、

「し、し…しねぇえええええ!!!!
 死んでしまえ!! 目の前からきえろ不埒ものぉおお!!」

まあ、この通り店が崩壊する危機に陥っている。
いつも思うが、自分の周りの人間はよく店の物を壊していくと思う。

自分自身が傷付けられるのが稀なのは、きっと数多い人望の現れなのかも知れない。

「誰がお前なんか慕うか!! この女の敵め!!」

女かどうかはっきりわからない生き物には言われたくないが、これもまた彼女(?)に対する愛情の現れだ。
本当はもっと鬼畜な感じに仕上げようと思っている。

本として流れた時の彼女の顔が楽しみだ。

きっと当日に、それこそ光の速度でここに姿を表してくれることだろう。

「うう…。またとんでもない事を企んでいるだろ…。
 マスターなんか嫌いだ…!」

当たり前だ。
僕が何も企んでいないことなど、ほとんどないのだから。

いまから彼女の怒った顔が待ち遠しい…。

表情があるとは、とても素晴らしいことだ。
頷く人もいれば、否定する人もいると思うが、僕はそう思う。

何故なら表情とは、動物が最も自然に作ることが出来る造形だから。
無表情なんて言葉もあるが、それはそれで自然な表情の一つだ。

だから、僕はこの店をずっとやっていこうと思えるし、何より表情豊かな彼女が大好きだと言える。

[*前へ][次へ#]

5/6ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!