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飛びさってしまう鳥は要らない

彼が急にいなくなるのは今に始まったことじゃない
それを自分が探しに行くようになったのはいつからだろうか
彼の様子がおかしくなったのはいつからだろうか

「次屋先輩、」

何故こんなところにいるのだろうか
彼は何に呼ばれてこんなとこまで迷い込んでしまうのだろうか

出来ることなら彼に関わるのは得策ではない
そんなことは当の昔に理解している
自分の姿を認めて近付いてくる、彼の瞳は仄暗く色がない
此方を見てるのに僕を映してなどいない







「ふッ…ン‥ぅ、」

くぐもった声とグチャグチャとした水音が右から左に抜けていって、白い背中が目の前で揺れる
締まりの悪い口に突っ込んだ指は三本に増えて、乱暴に掻回してやったら唾液が零れて手に伝う
無理矢理に突っ込んだ後孔は鮮血を垂らしていて、揺さぶってやれば痙攣を起こすみたいにビクビクと跳ねた
実際目の前の小さな身体は支えてないと崩れ落ちてしまう程脆弱だ
ガクガクと震える脚はもう限界だろう
縋りつくように眼前の大木に置いた爪は引っ掻き過ぎて血が滲んでいる
酷いことをしている、と思う
でもこいつは何も言わないのだ
痛いとも嫌だとも辛いとも漏らさない
ただキツく目を閉ざして時が過去るのをひたすらに待っている
背中に引っ掛かった装束を手繰り寄せて真っ白な項に噛み付く

「ッ…!!」

しろが小さく痙攣してブツリと肉の破れる音が俺の鼓膜を震わせる
口の中に鉄の味が広がった
目の前の身体がガクンと落ちそうになったからキツく抱き締める

「しろ、おせーよ、何ですぐ来ねーんだよ、俺しろが追っかけてくんのずっと待ってたのに、何してたんだよ?お前俺以外に優先すんものあんのか?なァ、オイ聞いてんのかよ」

血の浮上る其所を舐めて吸ってを繰返す
苦しげに息を吐くしろはやっぱり何も言わない

もうめちゃくちゃだと思った
しろは泣かない
どんなに痛いことしても快楽に落としてやっても涙ひとつ零さない



全部が終わってしろが震える指で俺が脱がせた装束をまた身に着ける
ゆっくりと呼吸を整えている
いつもそうだ
しろは今起きたことをなかったことにしようとする
しろは俺とのことを誰にも悟られないように綺麗に隠蔽してしまうのだ
肩で息をしながら木に凭れてなんとか立ち上がった、華奢な手はそのまま俺の装束を掴んでフラフラと歩き出す

「しろ、」
「‥、もうとっくに委員会の終わってる時間です…」

額に脂汗を浮かせて真直ぐ学園のある方角を見つめる
しろは強い

「しろ」

装束を掴む手を引いて薄く開いた唇に口付ける
喰うみたいに腔内を舌で引掻き回してやると息苦しさからかしろの手が俺の胸を叩いた
それを無視して更に深く、唾液が滴るくらいの乱暴な接吻にしろの身体から力が抜けていった

「しろ、お前は俺から離れないよな、お前は俺を置き去りにしないだろ

しろ、

裏切ったら殺すから」


殺す
絶対に殺す
しろが俺以外を見るくらいなら殺した方がマシだ
しろが俺から離れるくらいなら離れる前に殺す
しろは色が白いからきっと紅がよく映える

しろは虚ろな眼で俺を見て小さく頷いた

小さなしろはいつまで俺にやられてることを隠し通せるのだろうか
血の滲んだ指や首筋の傷に本当に誰も気付いてないのだろうか

バレてしまえばいい
バレたその時
俺は多分しろのことを、







だからひたすら羽根をもぐ
















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