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「むぉ……?」
意識が浮上したのはいいものの、瞼を上げるのも立ち上がるのも億劫でそのままに横たわっていた。
金髪のお姉さんの暴挙に曝されこんな酷い目に遭うなら、いつもよろしく家に引き篭っていればよかった、と相当後悔。
横たわっているから、お気に入りのスカートがアスファルトに接してしまったかと思うとそれだけで気分はだだ下がる。
『でも……なんか違うよな……。。。』
ついた手の感覚が、土な気がする。
『えぇぇ……洗濯するの面倒臭っ……』
わざわざアスファルト道から林の中まで運ばれた事に苛ついて、ようやっと目を開いてみた。
広がる視界は、林というより森。
(嘘でしょ?!)
「え、もしかして、拉致られた……?」
「起きたか。」
「………。きゃあぁあ!!」
「煩い、黙れ!」
ぽかーんと薄ら笑いを浮かべながら呟いた瞬間、隣から声が。
そちらを振り向いたら、目の前にはいつぞやの金髪お姉さん……だと!?
思わず叫んだら、容赦なく口に布切れを突っ込まれた。
抵抗にはあからさまな舌打ち。
かなり怖いな、このねーちゃん……
「思わず拾ってきたが……煩い女だ、捨て置くか……」
「ちょっ、……と待って!捨て置くって……!」
聞き捨てならない言葉に、噛まされた布を頑張って吐き出して詰め寄った。
何処だか分からない森の中に捨てられてしまったら、死んで、見付かる時には白骨化、なんて縁起でもない事になるだろう。
そんな末恐ろしい事にはなりたくない、絶対に!
「あ、あの、どなたか存じませんが……と、とりあえず捨てられるのだけは……」
「……お前、名は。」
「え、みょうじ なまえです……ちなみに近くのアパートに住んでます、はい……」
「苗字があるのか!?……その身なり、ただ者ではないとは思っていたが……!」
その後、急にスカートの裾を引っつかんだお姉さんは、そのままグイッと上に引っ張ってくれました。
慌てて中を見られないように手をあてたものの、さっきから何かがおかしいことに眉を寄せた。
スカートの裾をめくるなんて常識では考えられないのに。
「わ、悪い……。」
「あ、大丈夫です……。」
疑惑を胸に抱えたまま、ちょっと素直になったお姉さんに向かってほんの少し笑いかけた。
お姉さんはかすが、と名乗ると、何処から引っ張って来たのか全く分からない大きな凧を空に放る。
そして私の手を掴むと、そのまま跳び上がり。
……そう、遥か上空の凧に。
「ひ、ぃいやあぁあぁああっっ?!!」
耳元を風が裂く音が生々しく聞こえて、視界の端に自分の涙が写った。
(と、とんでもないビックリ人間だったのおおお?!?)
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