Dreeeeeam!
染めてあげる(家康)
忠勝さんの関節に油を点しながら、私は一つ溜め息をついた。
落ち込んだような機械音。心配をかけてしまったのだろうか?
「……点検終わりました。
……あ、ついでに自動攻撃用の子機を改良しましたから、試験運転してみてくださいね。」
「…………!」
ぺこり、大きな体を少し傾けて滑って行った忠勝さん。
……もう大丈夫かな。
後ろに置いた藁の小袋へ尻餅をついて、完全に脱力。
体の緊張を一気に解いて、今日一番に深い息を吐き出した。
(なんで私がこんな重務を……)
それもこれも家康さんの所為。
石田三成の事となると彼が見境なくなるのは皆分かっているのに、何故か放置。
みんな大将には甘いよね、大概。
おべっかなんだよ、きっと。
(絆とか言っちゃって、1番薄情な癖に)
「ほう、ワシが薄情か!」
「…………口に出てました?」
「バッチリとな。」
おっかかっていた袋を引き抜かれ、どさりと背中を床に強打して息が止まる。
見上げた先の家康さんは笑顔………まずいわ、コレ。
「フフ……なまえはワシが嫌いか?」
「……軍の大将ですよ?嫌いならついて行きません。」
「ならば好きだと言えばいいじゃないか。」
…………嫌ですよ
小さい声でそう言ったら、喉元に手。
首を絞められ掴まれて、そのまま上に吊り上がる。
苦しいけど、苦しい顔をしない。
喜ぶのはこの人だけだ。
「三成でさえ、ワシに憎しみという形を表す……なまえはそれすらしないのか?」
「ぅ…………く、」
喋れる体制じゃないというのに、この人は私に笑顔のまま言葉の続きを求める。
なんたる鬼畜。
「お前とは、絆を結んだ筈だが?」
「……す、き……でっ……!」
「そうか!……おっと!」
途切れ途切れ、好きですと。
そう言えば満面の笑みで両手を離し、私の体は落下体制に入る。
それをギリギリ受け止められて、糸の切れた人形の様に抱きしめられた。
「大好きだ、なまえ。」
甘い言葉の裏腹に、この人は闇を好んで止まないのだと知るのは私だけで充分よ。
染めてあげる
−−(真の心はお前だけに。)
−−(なるほど、他の皆はコレを知らないのか。)
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