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Dreeeeeam!
一人だけ、(学BASA佐助) 過去拍手










良く言うよ。
人の気も知らないで。


「あ……。」
「おはよう、久しぶりだね。」


女子校に進学した私。
中学時代の記憶……暗くて、冷たくて、二度と思い出したくないから、高校の環境は私に安息を与えた。

理解できる友達。
共感をもたらす親友。

三年生になる頃には、私はすっかり変われていた。
少しでも明るく、楽しくなれた。

私にとって夢みたいな三年間、中学の同級生の誰とも……会わずにいたのに。


「ほんとうに久しぶり。どうしてた?」

「え……別に、どうとも……」


もうすぐ高校生活も終わるという時期に、私は会ってしまった。
同級生の猿飛に。


クラスでも明るくて、何かと話題の中心で。
だけど恨みは買われない、交友関係も幅広かったし、何より人あたりがいいのが特徴。

小学生低学年の頃は仲良くしていたけれど……耐え切れ無くて、私は彼と距離を置いた。
何が耐え切れなかったのか、自分にも分からないくらい、苦しかった。


「…………。」


もうこれ以上話すのが辛い。
だから会話を途切れさせ、私は沈黙を貫く。
やって来た電車に安心したのもつかの間、ドアの向こうには朝のラッシュにすし詰めの車内。



ホームには、二人だけ。


どうぞ、と手の動きで先を譲られた手前、私に次の電車、という選択肢はなかった。

(これに乗れなかったら、遅刻だし……)

ほんのちょっとの隙間に入ろうとしたら、後ろから覆いかぶさる人の影。
紛れも無く、猿飛。


「せ、ま……」

「………っ。」
(やっ、いやだ、いやだいやだいやだ離れて!!!!)


ぎゅ、目をつむった。
肩触れる位置、多分、あいつは力を入れて、私から体を離してる。




そんなに嫌なら、露骨に嫌って欲しい。
(嫌なのを隠されたら、私が傷付く。)
嫌じゃないなら、力を抜いて欲しい。
(嫌われてないと、確認できるから。)




ぐるぐる回る思考と、ぎゅうぎゅうに締まっていく胸の痛みに顔をしかめる。

いつもの通学時間が倍に感じるミラクルも、ただの苦痛と同じもの。

(これは拷問だ。)


響く低音に慣れないのもある。
思春期に、男がいない空間で免疫がなかったのも多分理由。

だけど……これって……


(認めない、認めない!!!)
(私はこんなこと、考えない!)
















一人だけ、


−−世界で私だけの、病気に違いない。








11,02,24〜05,12




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あきゅろす。
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