Dreeeeeam!
信愛のあなた(元親)
家康を討った。
その時1番涙を流していたのは、徳川の兵でも、女中達でもなく……なまえだった。
「仇は討った……笑え、もう終わったんだ…。」
「違う、違う……こんなの違う……」
横たわった家康の傍に座り込んだまま、首を横に振られて少しだけ苛立つ。
なにが、違う?
……仲間を殺されたのに?
それをお前は、許せるのか?!
「お前も分かってるだろう?!アイツは……家康は、仲間を殺した……!」
「分かってるよ!!……でも、元親は……元親のやり方は、間違、って、る……!」
気が立っていた所為だろう。
錨の切っ先をなまえの首筋に突き付けて、あろうことか俺は、彼女を睨み据えていた。
涙で滲んだ瞳が大きくなって驚愕。だけど言葉は切ることなく言い切って、上目遣いのままなまえも睨み合う。
家康のためだろうその涙が、俺を、もっともっと、苛立てるのに。
「うるせぇ……!野郎共、なまえを船の牢にぶちこんどけ!!」
「あ、アニキ?!何言って……」
「黙りやがれッ!早くしろ!!」
(何故何も言わない?)
家康の手を握っていたなまえの肩を加減して蹴飛ばした。
家康から引き離し、倒れた彼女の片腕を掴んで野郎共に投げる。……慌てて受け止めやがって……。
(落としたら、承知しねぇがな。)
野郎共に宥められながら船へ移動させられる間、なまえはずっと俺を睨み続けた。
まるで、家康が乗り移ったように。
「間違ってなんか……ねえ!」
一人、家康の亡骸の横に居て、錨を地に突き立てた。
だから、後悔してるんだ。
「すまねぇ……!!家康ぅ……ッ!」
目の前には毛利。
全て聞かされた真実。
あの日の記憶、なまえの言葉、瞳、総てが俺を責めた。
錨を握り締めてギリギリ音をたて、木板にのめった大穴からゆっくりと引き抜く。
腹を決め、駆け出して。
力を抜いて、斬撃を己で受け止める。
「な、に……っ?!」
「分かってんだ……俺が、1番悪いってよ……」
いえ、やす
そして、なまえ。
俺ァ、とんでもねーことを、しちまったんだな。
信じられなかったのは家康だけじゃなかった。……なまえまで信じなかった。
倒れた後、何処かから布を裂くような悲鳴が聞こえたような気がしたが、誰の声かは……分からない。
信愛のあなた
−−−信じて、愛す。
(そうしてやれなくて、すまねぇ)
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