Dreeeeeam!
卜の行方(大谷)
(無垢、というか)
(……無謀、というか)
「ほれ、返せなまえよ。」
「待って、待って……もうちょっとで見えそうなの。」
そう言って我の玉を一つ抱えたまま離さないから、残り七ツの一ツで頭を軽く打った。
水晶のように透き通る訳でもなし、黄にくすんだ光を纏うこの玉に何を見るのか、と問えば、こちらを見ることなく我の名を即答されて。
(我の未来など……不幸を星るのみよ)
「っ、あー!消えちゃった!」
「では今まで何が見えていたか聞かせ。」
蜜柑を手渡して落ち着かせ、なまえが話し出す己が運命。
あの世間知らずの巫女でもないのに、なまえは時折我の八星を覗いて未来を覗く。
「本多が、壊れて、生き返ったの。それから吉継と三成様と、倒れた権現がいて……先がわかんない。」
「それでは意味が無い……」
「だから待ってって言ったの!」
ぷくり、膨れた頬を潰そうと手を伸ばしかけて引っ込めた。理由なぞ言わずもがな。
待てば見えたか?それは否。
今まで主の卜は当たっておらぬ、と一笑して、我も星を一ツ手にした。
「……何か見えない?」
「何も見えぬわ。生憎我は常人でなァ。」
「吉継のそーゆー所が嫌いなの。」
ヒッ、ヒッ!
我の笑い声だけ響かせて覗いた星の先、驚くべき景色に笑いを止めた。
吉継?と怪訝そうに言うなまえにすら……何も言葉は返せない。
「……あ、なんか見えたんだ。」
「……見えておらぬ。」
「ねぇねぇ、何見えたの?!ねーぇ!」
(冗談、だろう…?)
我の覗いた玉の先
降り注ぐ不幸の元、寄り添う幸に包まれた我等。
しかしそれは崩れ去った。
代わりに移るなまえの泣き顔……声無き唇の動きは、我の名?
何故、何故、そんな。
(……良しな、我にも……不幸よ)
「主の見えた通りよ」
「続きは!?」
「主の声で消えたな。」
「あーっ、もう意地悪!!」
台座の片側に体重をかけられ、そちらに傾くのを平然と直してそのまま前進。
阿呆な話を交わそうとも……此処が我の最も望んだ戦場であることに変わりはないのだ。
「今よ、不幸が空より降り来たるのは……!」
「えっ、え、わっ凄ーい!!」
動きを止めた丘の上、空一杯降り注ぐのは不幸の星。
驚いたなまえが我に寄り添い、歓声をあげた。
(可笑しい)
(これは、主にも降り注ぐ……不幸)
蘇る先刻の星の予見によれば……我はなまえを泣かせる、らしい。
「ひっ……それは、為るまいな。」
卜の行方
−−………!!(キュインっ!)
−−……三成!
−−刑部!…っ、刑部!刑部!
−−…嫌、嫌、吉継……っ!!!
刑部青ルートネタでした。
[*前へ][次へ#]
無料HPエムペ!