Dreeeeeam!
反対者(三成)
「やだ、離してよ。」
「離さん。」
私の元から去ることは許さない。
聞き慣れた台詞を告げて、三成は私の手を強く握ったまま駆け出した。
離れるな、そう言った割には走るスピードが速くて、私は足が縺れそうになる。
少し、気を使って欲しいのに。
「速い、速い……よっ。」
「煩い。黙ってついて来い。」
「横暴。三成なんて、嫌いだから。」
「………。」
何と突き放そうとも、その度に無言で私を押し潰す。
挙げ句の果てには無かった事に、なんてザラなこと。
鬼畜!
人で無し!
我が儘!
…………ハゲ!
「貴様……!」
「ふん、ハゲって自覚はあるんじゃん。」
「ふざけるのも大概にしろ!!」
「どっちがよ!!」
漸く足が止まれば、今度は威勢良く口が回る、回る。
怒号に怒号で返して、見上げる位大きな身長差だって怒鳴り声でなんとかカバーして、
対等に対等……に、
「三成は、いっつも自分ばっかり!!なにが、言う通りによ!真っ平御免だ!!」
「黙れ!貴様など、私に意見する価値など持ち合わせていないことを自覚しろ!!」
「なら斬れば?!ほーら、斬りなさいよ!!」
「……言ったな……!!」
ぱちん、と音がして鯉口が切れる音。
鍔が二枚、別れてすらりと抜けた鋼が目の前にキラキラ光って……ああ綺麗だと思った。
早々斬り捨てる筈の三成が、ゆっくりと刃を首に当ててほんの少し、力を込めたから。
ぷつりと皮が、薄い皮膚が、裂けた。
一筋足れる生者の赤。
どうしてか、瞳の奥が揺らいだよう……な?
「……気が失せた。」
「………根性無し。」
「黙れ、なまえ……。」
「………黙ってあげる。」
ああ分かった、分かった。
反対者
−−−大概、貴様も私も
−−−心と言葉は反対方向。
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