Dreeeeeam!
五月蝿い(幸村)一万打感謝
ただの日常←
まとまりないしオチなし!!/(^O^)\
とあるお屋敷の、ある日のこと。
「ゆきむらああああ!!」
「あねうええぇええ!!」
「ゆきむるああああああっ!!!」
「ぅうあぬぇうぅええぇっ!!!」
屋敷中に響いているのは言わずと知れた真田姉弟の叫び声。
名門武家の末裔だけあってだだっ広い敷地を持つが故、朝から声を張り上げる二人が近隣から騒音と訴えられる事はない。
『かと言って放って置くとなぁ……』
見えない角度で溜め息を漏らしたのは家政夫。
彼の経験上、此処で止めなければ"吹っ飛ばされた幸村の回収"という雑務が出来てしまう。
雑務は避けるべく、白い割烹着を揺らした彼は頃合いだと声を張った。
「旦那も姐さんも!朝ごはん出来てるよ!」
「「今参る(行くでござる)!!」」
途端、血の繋がりを見せ付けるシンクロでこちらを向いた姉弟は、家政夫などアウトオブ眼中に駆け出した。
「腹が減ってはなんとやらぁぁあ!」
「戦は出来ぬだ馬鹿者!!」
……なんと低レベルな。
並んだ赤い背中と二つの髪の尻尾が走り去るのを後ろから見ていた家政夫、佐助は半眼だった。
『こりゃあ今日の講習、意地でも出させないと………主に旦那。』
彼の主人、ひいてはこの屋敷の主人は彼ら二人。
五年程前に両親を無くし、若いながらも二人が党首になった……と此処だけ聞けば大層良い話なのだがそうはいかなかった。
彼らが師と仰ぐ信玄公の影響か、はたまた元々持って生まれた資質なのか、異様なまでに感動し、叫び、情熱的になる。
それは酷く佐助……とくに彼の胃を苦しめる結果を伴うのだが使用人に権限など皆無。
むしろ幼い頃から仕え続けた彼は彼らの親も同然と見なされ、さらに労力がかかる。
そんな俄かオカン佐助には、初な幸村の気持ちも見えてしまい気苦労プラス。
……ちょっと頭の弱い二人に、こうやって振り回されない日などない、
そう割り切って佐助が立ち直り、食堂へ戻った時、そこには既に卓についた仲睦まじい姉弟がいた。
「ほら、幸村。口を開けろ。」
「い、嫌でござる!」
「姉上直々に口に運んでやるんだぞ?……要らぬのか?」
「………うぅ……」
なまえの箸に挟まれたのはピーマンの肉詰め。
その横で顔をしかめた幸村は、どうやらピーマンが嫌いで食べたくないらしい。
姉の権限か、逃げを打つ幸村をしっかり押さえ付け、箸を口元に持っていくなまえは心なしか非常に楽しそうに笑っている。
ちなみに補足説明をすると、幸村は高2でなまえは大1。
正直無理がある年齢なのは屋敷中の者だって百も承知な訳だが、誰一人としてそんな事を言えるはずなどない。
───もうおわかり?
そうだよ、無駄に最強姉弟に口を出そうものなら……
……と悠長にぼんやりしていたら、顔面にべっちゃりと何かがぶつけられた。
そして襲う熱……熱!?
「あっつぅうぅう?!?」
「っ?!すまぬ佐助!」
「いや、流石幸村!私の弟だけあるぞ!」
「姉上……っ!有り難きお言葉をををを……!!」
佐助の顔に当たったのは、今朝のメニューの一つ、茄子の味噌炒り。
熱が飛びにくい上相応の粘着力もあるこれを、如何に飛ばしたかは聞けやしない。
なにより幸村の黒い笑顔がそれを許さなかった。
弟馬鹿のなまえが褒めれば、姉馬鹿の旦那は感極まって再び叫び愛に突入。
食堂にいた佐助を含む使用人達は、いつものように耳栓を装着し、さらに佐助がメガホンを手に、幸村の耳元に近寄った。
「旦那は高校遅刻ぎりぎりですよーーっっ!!」
「ぐふぅ?!」
佐助はこれに恨みつらみの全力を注いでいるのかと思われる。
鼓膜は大丈夫かと疑う程の大絶叫に、漸く二人も動きを止めた。
そして一喝。
「「五月蝿い!」」
───あんたらに言われるなんて心外!!
───興が冷めた、行くぞ(手を差し出す)───はっ、はい!(握っていいので御座ろうか……?)
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