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Dreeeeeam!
unknown origin(小十郎)一万打感謝


一万打感謝作品!!
お題コメントより採用させて頂きました!

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……まず、記憶を辿ろう。



昨日の晩は勝ち戦の祝賀会で、いつものように政宗様やアイツ等の馬鹿騒ぎを眺めてチビチビやっていた。

素面も同然の其所までは、はっきり覚えている。



………ああ、
そこに一升瓶を抱えたなまえが来て、

『こじゅって呑めない人だったのー?』

だとか呂律の回らない舌で笑ってくれやがったから……



そのまま意識が飛ぶまで呑んだ、と。



その所為で目の前に本来酔い潰れない俺が片付ける筈の惨状が広がっている訳だが、そんなものハッキリ言ってどうとでもなる。

今問題にすべきは『俺』にあるのだ。
だとすれば屍同然の奴等が有り難くもあるだろう。




はぁ、と深い溜め息を付いてから、自分の手をじっと見た。
刀を握るが為に掌に皮の厚くなった部位のある無骨な手は無く、代わりに其所にあるのは小さな手。


「一体どうなってんだ……」


耳に入ってくるのは聞き慣れない高めの声で、それに耐え兼ねて口を閉じた。
昔の俺はこんな声だったか?気持ち悪ィ……




そう、目を覚ました俺の体は見事なまでに縮んでいた。
恐らく齢5、6歳の、まだ小姓童髪の時の俺。政宗様のお産まれになる前……遥か過去の姿。
まだ眉間に皺の跡がないのか、少々力を込めて顔をしかめていると不意に襖が一枚開いた。


見られてはまずいと、急いで散らばっていた俺の服を頭から被る。女中なら、やり過ごしてこの部屋に入らないよう言えばいい。

息を潜めて相手の気配を探った。





「おー……みんな見事な屍っぷりだ……」






……天は此処まで来てもなお、安息は与えない所存らしい。


入って来たのは声からしてなまえに確定的。
ましてや昨晩の酒が残っている屍とは違って、完全に素面だ。
見つかったら……何となく良くない感じがする。



「あれ……?小十郎がいない?片付いてないのに?」





コイツは、なんて嫌な時に勘が働くんだ……!
なまえの能力の高さはその勘だと認めていたが、どうやら今回はそいつが仇になったらしい。



「ほらー、小十郎ーっっ!起きろー!!」



気配で分かる、まっすぐにこちらに向かうなまえ。
そして目の前で止まる足。
一気に引っぺがされる着物。入る光。



「っあ……、……っ何やつっ!」




…………咄嗟に口を付いた嘘に、自分で吐き気を催した。










**************








「っあ……、……っ何やつっ!」

「っ!?!?」



自分の勘には絶対の自信があって、尚且つ誰の物だか分かりやすい着物の散乱している場所にある奇妙な塊。
一見してすぐ、そこに小十郎がいると確信していたのに見事に外れた。

まあ……外れただけじゃない。
何故か其所からは全裸の美少年が出て来るからあーら不思議。
まだ童髪だから、きっと誰かの小姓だろうと思ったけれど、昨日の宴会にこんな小さな子供は居なかった。



「……ぼ、ぼく……何処から来たの?」

「おぬしこそ、どこから入った?ここは、山のかごに守られし父様の城だぞ!」

「……えっ?……え!?」

「くっ、くせものだっ!!」




小さなその子は若干表情を強張らせながら、少々意味の分からない事を叫んだ。


第一に、此処は米沢城。
第二に、現米沢城城主は其所に転がっている政宗様。
第三に、私は此処の拾われ軍師で、決して曲者ではない。


くせもの、とそう叫んだのにも関わらず誰も来ない事が気になったのか、徐に一枚だけ着物を引っ掛け近場に落ちていた脇差しの短刀を取ると、それを抜き放った。


「………こ、この片倉小十郎景綱が……!」

「かっ、片倉小十郎景綱って……!!小十郎?!」


そしてさらにおかしな事に、その子は自らを片倉小十郎だと名乗ったからまたびっくり。
縮んだ……としか考えるしかないんだけど……信じられない。ダメだ、あの厳つい小十郎がこの線の細い美少年だなんて……!


「おれの名を呼び捨てにするだとっ?!」

「わーっわーっ!ちょっと待って?!私はお父さんの知り合いなのよ?!」

「……父様の?」


思わず叫んだ言葉が、どうやら癇癪玉に触ったらしい。パチパチと小十郎特有の青白い静電気が彼に纏う。

子供は割と好きだし、とりあえずお父さんの名前を出せば良いかと誤魔化すと、案の定この子は動きを止めた。



「………もしかして、迷子なの?」

「まっ、まいごなどではない!」

「私、みょうじ なまえって言うの。お父さんに会うまで、お姉さんと一緒にいる?」



彼に目線を合わせるように屈んで笑えば、その子……もとい小さくなった小十郎は少しだけ赤くなった。……流石美少年……可愛くて麗しい……


見惚れていると、きょとんと小首を傾げた小十郎に、やっぱり昔に戻った姿なんだと確認できた。


だって中身が変わってないなら……それこそ気味が悪いじゃない!








**************










……何をときめいた、俺は。


縮んだ俺に目線を合わせて笑うなまえに思わず頬を染めて、ふっと目線を外した。
コイツには危機意識と言うものがないのだろうか?
湯上がりらしい上気した頬と、しっとり濡れた髪。いくら子供相手とはいえ、これは少々小言物だ。


断じて俺の個人的な動きでなく、コイツに忠告をしてやる為の務めだと言い聞かせた。



「……なまえ姉様?」

「やだ、姉様なんて言わなくて良いよ!小十郎……君、は止すわ……。

「……なまえ?」



約20年前の記憶を手繰り寄せ、必死に子供らしさを演じる。

名前で呼べば、元来面倒見の良い彼女が俺を抱き上げて屍を踏み越えた。

その時に胸の谷間が見えたのは着物である事の不可抗力だ。下心など………ない。




「着物何色が良い?」

「………青……」

「あら、政宗様と一緒ね。」




小さくても其所は変わらない、と笑うなまえ。
子供が茶色とは言わないだろうと俺なりの考えをもってした事だ。ほんの少し眉間にシワを寄せたら、こら、と言われて眉間を小突かれた。



「大きくなった時のシワは、この頃から培われてたのか……!」



勝手に感動しないで欲しい。それと少し力を加減しろ、眉間が痛い!

思わずボロが出そうになる小言を全部飲み込んで、俺は抱かれるままになっていた。



「あっ、そーだそーだ。あんなとこに居たんだもん、お風呂入んなきゃ気持ち悪いよね、一緒に入る?」




気付いたようにこちらに、ね?と言われても、内心口をあんぐりと開けた俺には最早思考は不可能。

何を言い出した?!風呂?!



……此処で理性が負けそうになる俺を、誰か一回殴ってくれ。






*********








宴会場で小十郎を抱き上げた時、零れた焼酎をがっつり踏んでしまったのでもう一度風呂に入らざるを得ない。

ならばと、よりベタベタ加減の酷い小十郎も一緒に入ろうと言ったら、子供は子供なりに……
というか小十郎が小さいからでこそなのか、一緒にお風呂、の言葉に固まってしまったようだ。



「それとも一人で入れる?」

「っ……っ!……!」

「うーん……面倒だし、一緒に入っちゃおう!」




こりゃあ、真田の坊ちゃん以上に初心だと見えた!
赤い上に言葉も発せられない彼を抱いたまま、浴場へと足を進める。

途中で擦れ違った女中さんに着物もお願いしたし、後はお風呂に入れるだけ。



「ほらほらっ、そんな汚れてぶかぶかの着物なんて脱ぎなさいー。」



私は尻からげに襷掛けで浴室に入り、湯椅子に座らせた小十郎の頭をお湯で流す事に専念した。
これが終わったら、私も服を脱いで一緒に湯舟に浸かろう。

何で固めていたのか分からないあの髪型ではなく、細くて滑らかな小さい小十郎の髪が以外にも気持ち良くて、知らず何度も手櫛を通していた。



「よーし、終わりっ!湯舟に浸かって待っててねー。」



さぷ、と彼を浴槽に入れてあげて頭を撫でたら、上目遣いで少し睨んでくる。

やっぱり男の子にこの対応はまずかったかなぁ……まあいいか。


どれ、私も、と思って襷に手をかけてから、大きい手ぬぐいを持って来るのを忘れていたのに気が付いた。
取りに行くの面倒だし、いいや。諦めようっと。

襷と帯を溶いて着物を畳み、浴室の戸を開けて、絶句。










「こ……じゅ、ろ……?」

「あ?……!?」










…………弁解の余地は無かった。

戸を開けたまま固まったなまえに声を掛ければ、耳に入ったのは聞き慣れた低い声。
体も元に戻っていたと気が付いた頃には、凄まじい音で戸は閉められなまえは逃走していた。

油断の余りにさらけ出された何もかもを目撃してしまった責任は、如何にして取り戻せと?
もういっそ、これは割り切ってやろうじゃねぇか。















unknown origin -原因不明-




───もっ……!さいあくぅ……!!

───役得、役得……。







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如月さま、元ネタ提供ありがとうございました!
こじゅが幼児化だとぉおお、とか勝手に悶えた挙げ句ぶん長い文章になってしまった事をお許し下さい;;;





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