Dreeeeeam!
壊滅的な(元就学パロ)
バレンタインネタ
最終授業終了のチャイムと共に、既に帰り支度の済んだ鞄をなまえは引っつかんだ。
今日は、鞄に潜ませた包みを壊さないよう、細心の注意を払いながら学校にきたのである。
「待ちに待ったこの放課後……!逃す訳にはいかないのよ!!」
ただでさえ14日は日曜日で渡す事は叶わない状態だったのだから、あの部活馬鹿の隙などこの瞬間しかない訳だ。
なまえはざわめく教室からさっと抜け出すと、既に人気のない廊下を歩く元就の背を追う。
「っ……と、なり……!」
「……」
「待ってってばっ……!」
彼の肩をぐいっと掴むと、元就は眉間に深い皺を寄せて振り返り、その足を止めた。
これはチャンス!
と、鞄から光の速さで引き抜いた包みを押し付ける。
「これ!あたしから!別にお返しとかいらないからね!」
「は……?」
「ばいばいっ!」
キラリと星でも瞬くような笑顔を残して走り去るなまえの背を呆然と見つめる事しかできなかった元就は、しばらくしてから手元の包みを見た。
可愛らしいハートがちりばめられたピンク色の包装に、紅色の大きなリボンが目立つ位置に貼られている。
彼がようやく今日の日にちと昨日のイベントを理解すると、包みを引きちぎるように乱暴に開けた。
いつもは冷静な彼をそこまで逸らせたのは、なまえの包みである事は間違いない。
しかし、元就の顔は心なしか青ざめ、額には汗が浮かんでいた。
そうして紙に包まれたしたの透明ビニール包装から覗いた品物に、彼は完全に石化する。
手だけがわなわなと奮え、声は絞り出すよりほかない。
「な……んだコレは……っ!」
そんな彼の手には、なまえのバレンタインチョコ……
オクラの三分の二だけチョココーティングされた代物が握られていた。
その地獄のような品物は一本ではなく、スーパーで見かけるオクラパックを全て使ったと思われる本数である。
手に握った感覚からして、オクラには全く火は通っていない。
塩揉みもしていないのか、微かな細い毛も細かく残っていた。
もはや言葉すら発せず、他の生徒達が廊下を行き交う中に突っ立つ元就は非常に珍しいものだっただろう。
その様子に引き寄せられた元親が、景気良く元就に話しかけた。
「あ?……どうしたんだよ就?」
「………。」
「……何それ。」
元親は話しかけるのと同時に肩に手を回したのだが、いつもは振り払われるその抵抗が皆無なのに気が付くと、元就の異変を若干心配した。
そうして無言のままの元就の手元を、ついに彼も見たのだ。
完全に、元親の顔には笑いが全て出てしまっている。
元親も品物に視線を奪われ、元就の肩を数回ポン、と叩いた。
「ドンマイ……頑張って消費してやれよ……!」
「ふざけた事を言うな馬鹿鬼め!!」
「はぐぼぁっ!?」
急に動きを取り戻した元就は、素早い動きで手の包みを袋ごと元親の口に突っ込み、そのまま歩き出してしまう。
不意打ちに喰らったオクラチョコを受けた元親は、見事に廊下に沈んだ。
元就は一切振り向かずいらついた表情で、音楽室のある方向ではなく、昇降口へと足を向ける。
そして視界になまえを捉らえると、一直線に彼女へと歩み寄った。
「おい、なまえ……」
「あっ、チョコのお礼なんかしなくていいって言ったのに、もう!」
「礼ではないわ!苦情だ阿呆が!!」
長い袖が広い鞭のようになまえの頭を叩いた。
そうして得意の見下し目線が彼女に刺さる。
「我をナメているだろう……?貴様の料理の腕………」
壊滅的な
―――我が一から教えてやるわ!!
―――……それ、逆に嬉しい……かも。
―――たわけ!
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大大、トルネードスランプ中……
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