Dreeeeeam!
すがお(学パロ元就)
中学で吹奏楽部だったから、なんて安直な理由で、副部長になった事は大いに後悔すべきだった。
「なまえ!!」
凄まじい勢いで名前を呼ばれた所為で、やましい事などないはずなのに背筋がいきなり伸びきる。
ゆっくり考えてみればそれはやっぱりアイツの声で、しかももう目の前にいるっていう!
「な、なに?!」
「ちょっと来い。」
有無を言わさず掴まれた手首が引っ張られ、座っていたはずの私は立ち上がる羽目になる。
細い腕の何処から力が出ているのか分からないが、クラスメイトの前から、私は元就によって拉致された。
「ちょっ……と、待って……!」
「早くしr「ひきゃっ!」?!」
ぐん、っと引っ張られ過ぎて足が縺れ、躓いて身体が傾く。
それに驚いた元就は、眼鏡の奥の瞳を丸くして珍しく驚いていて、
……掴んでいた手首も離されていた。
そのおかげで私は盛大にひっころんで、廊下の冷たいタイルに顔を押し付ける結果になった。
「いた……」
「っっなまえ……」
この歳になって転ぶのは久しぶりだったために、ゆっくりとしか起き上がれない。
膝頭と手の平が痛むのも久しぶりで、なんとなく泣きたくなる。
そんな中、何故か焦った声を発した元就に首を傾げると、やや赤くなった彼は声を上擦らせながらとんでもない事を叫んだ。
「じっ、女子だったらスパッツくらい履いておけ!!」
「見っ……?!むっつりスケベえぇぇえっっ!!」
二人とも真っ赤になったまま、叫んだ後の妙な静けさに包まれてなんとも気まずい雰囲気が流れる。
「………で、何処に行こうとしたの?」
「あ、あぁ……」
この空気を打破するために、本来の目的を聞いてみた。
そうすると強引だった元就が、ナチュラルに手を差し出してくる。
「……手。」
「な、なんで?」
「いいから早くしろっっ!!」
どうも、行き先を伝えるより連れて行きたいらしい。
元就の意外な一面に触れた気がして、ちょっとだけ笑って手を握った。
それからは歩調も丁度よくて、だけど少し甘く気まずい空気で、
たどり着いたのはいつもの音楽室だった。
「部活の話なの?」
「いや……」
ぱ、と手を離した元就は、いつも自分の荷物を入れている鞄を漁って、風呂敷に包まれた何かを机の上に置いた。
そして、柄になく小さな声で。
「………べ、弁当を作ってみたんだ。なまえと食べようと思って……」
「…………ぶっ……!!」
「わっ、笑うな馬鹿者!!」
本当に柄でもない元就の姿に思わず笑うと、茹蛸みたいに真っ赤になった元就の姿にかちあう。
「ふふっ……!すごく嬉しい!それに美味しそう!ありがと、元就っ!」
「……美味しそうじゃない、美味いのは当たり前だ……!」
すがお
―――……わ、おーいしい!意外!!
―――意外は余計だと言っている!!
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