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サングラスと優男


今日はいよいよ噂の沢田さんがやってくる金曜日。
お父さんとお母さんは自分達が留守の間、娘が一人にならないことに安心して引っ越しの日を早めた。今頃は異国の空の下を二人仲良く歩いてるのだろう。
一人暮らしには少し不安があったけど、寂しいこと以外は特に困ることはなかった。
普段からお母さんの家事のお手伝いしといて良かった…!
普通に学校に行き、普通に家路につき、そんな事を考えながら今日の夕飯は何にしようかと料理本を見ていると、誰かの訪問を知らせるチャイムが鳴った。


『…来た』


ついにやって来た未知の人物沢田さん。緊張して高鳴る胸を押さえ、玄関で深呼吸してからドアを開けた。


『……』


扉を開けてびっくり!そこにいたのはサングラスにスーツの方々。
思わず無言でドアを閉めてしまった。
落ち着けー私、大丈夫だ私。きっと最近流行りのファッションなんだよアレが。
必死にそう自分に言い聞かせてると、再びチャイムの音が聞こえた。
震える手でドアを恐る恐る開けた。


「あ、良かった開けてくれて。さっき怖がらせちゃったからもう出てきてくれないかと思った。」


視界には相変わらずサングラスの人達。しかし先程とは違い、彼らは玄関の戸への道を開けるように両サイドにずらっと並んでいて、その道を一人のお兄さんがこちらに向かって歩んできた。
思わず無言でドアを閉め…ようとしたが、差し込まれたお兄さんの高そうな靴によってそれは叶わなかった。
そしてこのタイミングで、沢田さんはお金持ちらしいというお母さんの話を思い出す。


「お母さんに話は聞いてると思うけど…はじめまして、沢田綱吉です」


『…どうも』


ひきつった笑みを浮かべながら、目の前の優男に会釈をした。


「君が名字名前ちゃん…?」


『…そうですけど』


「君のお母さんに頼まれて、俺は君を迎えに来たんだ」


一緒に行こう、そう言われて差し出された手を素直に取ることはしない。
すでに行かないと心に決めていたし、何か…怖いし。
金持ちって、どんな仕事してたらこんなにたくさんサングラスの人ついてくんだよ!?



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