王子とイタリア 『…ありえん。何なんすかあなた』 「俺王子」 ちげーよ。そういう事じゃねーよ! 抵抗も虚しく、そのまま自家用ジェットなるものに放り込まれてしまった私は、何度も帰せと訴えたが王子さんは聞く耳を持たない。 いい加減王子さんにツッコむのも疲れてきた。 「じゃーん」 『…何すか』 「ナイフに決まってんだろボォケ」 こんの王子野郎おおお!!んなことわかってるわ!! 片手でくるくるとナイフを回し遊んでいる王子野郎…いや嘘です違います。ごめんなさい調子のってごめんなさあああい!! 私の心を読んだらしい王子さん…いや王子様にナイフを投げられてしまいました。あっぶね!あと数ミリで刺さるとこだった! 「お前ムカつく」 『何なんですか?心読んだんですかチクショー!』 「王子そんな事しねーし。ヴァリアークオリティーだし」 『いやごめんなさい。意味わかんないです』 王子さんから距離を取り、ふと目に入った窓の外。青い空に青い海、それに島国…あれ? 『え、あれ?何かあれ日本の形に似てね?』 「どっからどう見てもジャッポーネじゃん。お前そんなのもわかんないわけ?」 バカにも程があんだろー、と笑う王子さんなんてどうでもいい。私の胸に焦りと不安が募る。 え、もしかして?王子さんやってくれちゃった? 『あのー…つかぬことをお伺いしますが、私たち何処へ向かってるんでしょうか?』 「は?お前そんなのもわかんないわけぇ?イタリアに決まってんじゃん」 『あ、なるほどーイタリアですか。そうですよね、王子さん外人ですもんねー…っておォォォォォォい!!』 イタリアって何それ!聞いてないよ! 『学校……』 今更逃げられるはずもなく、私はガクリと項垂れた。 ←→ |