天の邪鬼とハンバーグ
「……まだ?」
『だああ!もうちょっと待ってくださいよ雲雀さん!』
名字名前、ただいまシェフ達に混じって死ぬ気でハンバーグを製作中。
事の発端は今日のお昼休み、雲雀さんと獄寺さんの喧嘩をとめるために、ハンバーグと言う言葉を出したことだ。
「あの性格でハンバーグが好きなんて…クハハハ!似合わないにも程がありますね雲雀恭弥!」と言う骸さん情報は本当だったし、「ハンバーグで釣れば意のままに彼を操れますよ。クフフ、なんて単純な男なんでしょう」と言う骸さん情報も本当だった。本当だったけど!
『これはないだろ!!』
「おっ今日ハンバーグなのな!」
笑顔で席につく山本さんを横目に私はぐでっと机に頭を乗せた。
5分ごとに催促してくる雲雀さんを適当にかわしながらも、シェフに教えてもらいハンバーグを嫌々作っていたら、リボーン君に見つかり全員分作らされた。
銃で脅すなんて卑怯すぎる…!
舌のこえたマフィア達に自分の料理を食べられるとか…ただの拷問だと思う。だって絶対美味しくないもの!反応が怖すぎる!!
「じゃあみんな揃ったし、食べよっか?名前ちゃんのハンバーグ」
『お願いしますマジやめて下さい。食べたら舌爆発しますよ』
「どんな料理!?って、もう雲雀さん食べ始めてるし!」
沢田さんの発言に慌てて雲雀さんを見れば、ちょうどハンバーグを口に運んだところだった。最悪のタイミング!
無表情でモグモグしてる雲雀さんに私は冷や汗ダラダラ。だって、お気に召さなかったら…ね?死ぬよね私。
「俺達もとっとと食うぞ」
リボーン君の声に、みんなもナイフとフォークを手に取り食べ始め、口々に極限に美味いとかまあまあだとか様々な感想をくれた。うん、お世辞でも嬉しい。
私はと言うと、緊張のあまりほとんど喉を通らなかったから、美味しいのか不味いのかもよくわからなかった。
結局、雲雀さんと話すことはなかった。というか、それ以前に目すら合わなかった。まあ、下手に何か文句を言われるよりはましかなと思い、気にしないことにした。むしろ宿題を犠牲にして、約束通り作ってあげたんだから感謝してほしい。
その時、ふと雲雀さんと目があった。
ビクリと背筋を伸ばし、思わず食器の大きな音を立ててしまって、みんなから注目を浴びた。恥ずっ!
「50点」
『は?』
「まあ、悪くはなかったよ」
最後にふっと鼻で笑うと、席を立ち部屋を出ていった。
……これは、どう反応すればいいの?
「雲雀の奴、素直じゃねーからな!」
美味かったぜ!と私の頭をわしゃわしゃしてきた山本さんの言葉から勝手に雲雀さんの言葉を解釈して、とりあえず喜んでおくことにした。
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