鬼ごっこと決着
「待てーーーっ!!」
『待たないーーっ!!』
どこを走っても、どこに逃げ込んでもマフィアだらけ。逃げる度に追いかけてくる人が増えてる気がするんだけど!
運動神経があまり良くない私はそろそろ体力の限界を感じ始めていた。
「スピードが落ちてきた!今です、獄寺様に山本様!」
「任せとけっ!悪いな名前」
「諦めて捕まってもらうからな」
『うわわっ…』
前方の曲がり角から現れた獄寺さんに山本さん。後ろからは部下の人達が追いかけてきている。
完全に挟まれた!
『…この作戦だけは使いたくなかったけどしょうがない!ゴメンねみんな!作戦D!!』
そう叫ぶと私はすぐ隣の教室にかけこんだ
「そんなとこに逃げ込んだって無駄だぜ」
「まっ待て獄寺!」
山本の制止も聞かずに、獄寺は名前が逃げ込んだ教室の戸を勢いよく開けた。
ガラッ
「「「……」」」
「………獄寺、」
「キャアアアアア!!」
「わっ…悪ィ!!」
慌てて戸を閉めた後、腹を抱えて笑っている山本を睨み付けた。
「…テッテメェ!」
「だって獄寺聞かねェから。それにしても…ハハハッ獄寺顔真っ赤!」
「果たす!」
名前が逃げ込んだ教室には女子更衣室と書かれた札がかけられていた。
『…何とか逃げきれたみたい』
更衣室にいた女子達、ならびに獄寺さん(笑)に心の中で謝罪しながら女子更衣室の窓から脱走した私は、上靴のまま中庭を走っている。人員のほとんどを校舎内に割り当てているのか、中庭には誰もいなかった。
助かった…!!
『はっ…は、勝った…!』
息絶え絶えに勝利を確信した私は、すぐ近くの金網に足をかけた。
正門から出るのは危険だろう。絶対に誰か待機してるもん。
『…今度こそさよなら獄寺さん、それに沢田さん!』
私はお家に帰ります!と叫びながら、金網を乗り越え地面に着地!
するはずだった。
「名前ちゃん捕まえた」
『え』
着地するはずだった足はなぜか浮いたまま。ちなみに身体も浮いたまま。
「あ、もしもし獄寺くん?今名前ちゃん捕まえたから。山本にも伝えといてくれる?いやいいよ。うん、ゴメンね」
ニコニコしながら携帯片手に私を抱き抱えている人物を恐る恐る見上げた。誰かなんて声を聞けばすぐにわかる。
『…何で沢田さんが』
「こんにちは、名前ちゃん。ダメだろ?スカート穿いた女の子がこんなやんちゃしたら。まあいいや、説教は帰ってからだね」
『いーやーだああああ!!』
暴れてみたが、結局沢田さんに連行され無事に秘密基地に帰るはめになった。
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