続 鬼ごっこと雨の人
どっどうしよう…!!
職員用玄関に無事到着できたとこまでは良かった。良かったんだけど、靴までたどり着けない!
ガラス張りの入り口の向こうにはすでにマフィアスーツの人達がスタンバイしていて、とても靴を取りに行ける状態じゃない。
『…作戦Bだ』
こうなっては仕方ない。体育で使う用の運動靴で外に出るしかない。
「ところで、作戦Bってなんだ?」
『え?だから作戦Bは運動ぐ…』
ちょっと待った。私今誰と話してる?
ギギギと声のした方を向けば、相変わらず眩しい笑顔に爽やかオーラの山本さんが。
『…ぎゃあああ!?』
叫ぶや否や、私は教室に向かって走り出した。
何故?何故に山本さん!?
「ハハッかけっこか?名前は元気なのな」
『違うううつーか山本さん速っ』
こっちは必死に走っていると言うのに、余裕な顔で凄まじいスピードを出し追いかけてくる山本さんに、血の気がひいた。
これじゃ捕まるのも時間の問題。慌てて階段を登り角を曲がった瞬間、視界が真っ黒になった。
『うわっ!?』
「うおっ!」
私は咄嗟に横に避けたが、後ろにいた山本さんはそれができなかったらしく、思いっきり衝突した。
「っ痛ー…どこ見て歩いてんだ…ってお前かよ!」
「いってー…獄寺石頭だな」
どうやら曲がり角の向こうにいたのは獄寺さんだったらしい。二人ともおでこを押さえている今がチャンス!
「うるせーよ!それより今あのバカとぶつかりそうになったんだが…」
「ああ、名前ならあっち走ってったぜ」
「バカ何やってやがる!アイツ捕まえないでどうすんだ!?」
ふふふ、残念だったな獄寺さん。今さら立ち上がったって遅くってよ。
心の中でほくそ笑みながら教室に入ろうとしたところ、またしても視界が真っ黒になった。
「逃がしませんよ名字のお嬢さん」
「テメーら、そいつを確保しろ!」
んな!まさか教室に獄寺さんの部下の人達が待機していただなんて…これじゃ運動靴を取りに行けない!
『こうなったら…作戦C!!』
防災訓練のノリで上靴で外に出る!!
帰宅ラッシュで混雑する方へあえて駆け込み、部下の人達を上手くまいて反対側の階段をかけ降りた。
「くっ…しまった!」
「獄寺様、申し訳ありません。逃げられました」
「チッ…追え!俺もこっちから回る」
「大変そうだな、獄寺」
「お前も来んだよ野球バカ!」
獄寺は山本と共に、挟み撃ちするべく名前が先程登って来た方の階段をかけ降りた。
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