マフィアと鬼ごっこ
帰りの支度、良し!掃除当番、なし!部活、なし!委員会、なし!
…よし、準備は整った。
あとは帰りのSHRの終わりを待つだけ。
「きりーつ、礼…さよ『さよーならあああいぃ!!』…名字さん!?」
さよならと叫びながら私は教室を飛び出した。
理由は簡単、獄寺さんから逃亡をはかるため。
発信器?ああ、鞄ごと教室に放置ですが?あらかじめ用意しといた別の鞄に中身詰め替えておいたのさ!ははは、ざまーみろ獄寺さん!
昼休みに移動しておいた靴を履きに、私は職員用玄関に走りだしたのだが、曲がり角の向こうから聞こえた足音に、とっさに近くの女子トイレに隠れた。もちろん気配を消すこと(というか息を止めてるだけ)も忘れずに。
足音の犯人は予想通り獄寺さんで、すごい形相と速さで私の教室に向かっていった。
ダダダ…ガラッ
「おい!名字名前はいるか!?」
「(ビクッ)…え、もう帰りましたけど」
「チッ…逃げられたか!」
舌打ちをするなり獄寺は携帯を取りだした。
「悪ィ、逃げられた。出入口を封鎖、校舎を包囲しろ」
携帯をポケットにしまい、名前の机に掛かったままの鞄を回収すると、悪かったな、と生徒たちに告げ教室を出た。
「…ったく、手間かけさせやがって」
しかし全ては10代目のため。子供のお守りなんてやってらんねーよ、な本音を飲み込んで、獄寺は自分の持ち場に向かって行った。
『…包囲される前に逃げなきゃ!』
このままでは、またあの秘密基地に連行される!!
女子トイレから出ると左右をよく確認してから、再び職員用玄関を目指した。
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