帰宅と大空
『ちょっとちょっと沢田さん!』
「ああ、名前ちゃんお帰り」
「コラ!10代目にきちんと挨拶しやがれ!」
『あいたっ!殴ることないじゃん獄寺さん!沢田さん、ただいま』
「何だかんだでちゃんと挨拶するんだね」
私は秘密基地につくなり、魔の手(獄寺さん)から逃げるべく走りだし、とりあえず沢田さんのいるであろう執務室へと逃げ込んだ。
もちろん、愚痴るために。
『そうじゃなかった!聞いてくださいよ沢田さん!』
「…どうしたの」
『獄寺さんが私の鞄にGPS付けやがったんですよ!しかもあの強引さ、端から見たら誘拐ですよ!』
「俺にお前みたいなちんちくりん誘拐する趣味なんざねーよ」
『あんだとコノヤロー!?』
「まーまー落ち着いて!実を言うと、GPS付けたのは俺なんだ」
『お前かああ!!』
衝撃の事実に叫べば、10代目に失礼だと、また獄寺さんに殴られた。
「もちろん理由は、名前ちゃんが逃げないよ『どんだけ警戒心強いんだアンタら!』…だって、名前ちゃん逃げるでしょ?」
そりゃあ、逃げますけど。
『でも、だからってGPSはないでしょ!監視されながら生活するなんて嫌なんですけど!?』
「名前ちゃんが逃げなければいい話だろ?それに…」
そこで言葉を止めた沢田さんを不審に思うや否や、デスクの向こうからぐいっと腕を引かれ、前のめりによろけた。
驚いて顔を上げると、目の前にあった真剣な顔の沢田さんと目が合い、ドキリ、胸が高鳴った。
「…万が一、敵対ファミリーに拐われた時、すぐに助けにいってあげられるだろ?本当の理由はこっち」
その目が今までになく真剣だったので、喚いていた自分の子供っぽさが急に恥ずかしくなって、何も言えなくなった。
そんな私を見て、へっざまー!と鼻で笑う獄寺さんが異常にむかつく。
「獄寺くんもちゃんと説明してあげなきゃダメじゃん」
「もっ申し訳ありません10代目!!」
へっ獄寺さんざまー!
黙り込んでしまった私たちが余程面白かったのか、沢田さんはお腹を抱えて笑いだした。
しばらくは沢田さんをジト目で見ていたが、つぼった沢田さんにつられて私まで、終いには獄寺さんまで、リボーンくんが仕事をサボっている沢田さんを見つけ発砲するまで、三人で笑い続けた。
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