登校と友達
『はあぁ……』
私は重い足で一歩一歩階段を登りながらため息をついた。何てこった、これから毎日あんなふうに注目されながら登下校するなんて。今まで目立たないように生活してきたのに…。
教室につきドアを開けるや否や、友人が突進してきた。バカな、なるべく音を立てないように開けたのに。
「ちょっと名前!アンタ一体何したの!?」
『あはは…まあいろいろと』
登校の件はこれきりにしようとしたのに、友達がしつこいので結局話すことになった。
しかし、沢田さん達のマフィア事情から詳しくは話せないので、ところどころ誤魔化しながら話した。
『…それで、お父さんのお得意先の人のところで無理やりお世話になることになりました…はは』
「へーっ成る程!名前も苦労してんのね。でも、沢田さん達って超金持ちなんでしょ?しかも朝の見送りの人カッコ良かったし、何だかんだでいい生活送れそうじゃん。ちょっと何でそんな遠い目してるの!?」
『…まあね』
まあ土日は部屋に引きこもってなるべく関わらないようにしてたけどね!
土日は、無駄に広い屋敷の案内だとかで沢田さんに無理やり連れ出されたときと食事以外は、私の無駄に広い部屋にいつのまにか運び込まれていた荷物達の片付けをしていた。
「…でも、私ちょっとホッとしてる。名前が私のために日本に残ってくれて。ありがとね」
『…!』
はにかんだ友達の笑顔を見て胸の奥が熱くなった。今までで一番付き合いが長い友達だから、そう言ってもらえて嬉しかった。
日本に残って良かった…!!
彼女の言葉にやられてしばらく停止していた私は、少し遅れてうん!と返事をした。
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