捧
全部お前のせい/ｷｯﾄﾞ夢/彌架様
「死神様ぁー」
ななしが呼び掛ける。
で、今この場に父上はいないから、その“死神様”とは俺のことで。
「たわけ、そう呼ぶのは止めろといつも言っているだろう」
「なんで？別に間違ってはいないでしょ」
「それはそうだが…」
もやもや。
霧がかかったみたいに、沈み込んでいく気持ち。
「まだ俺は未熟でだな、」
こんなの、ただの言い訳。
「公でそんな風に呼ばれるのにはまだ早いと」
本当は、
…ななしに、名前で呼んで欲しいだけ。
「でもさ、キッドだけの特権じゃない！」
「あ、」
「へ？どうかした？」
「いや…」
今、“キッド”って。
これだけで浮かれるなんて、とも思うけれど。
それでもななしの声が俺の名前を呼ぶだけで、こんなにも幸せを感じる。(末期だな俺、)
曖昧な返事に、小さく首を傾げるななし。
ああ、なんで過度に鈍感なコイツに惚れてしまったんだろう。
「まったく…」
「ねえ、どうしたの？さっきから百面相」
「どうしたもこうしたも」
全部お前のせい
(え、私なんかした！？)
(鈍過ぎる)
(何が)
(好きという意味だが)
リクエストありがとうございました！
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