捧
ああ、とどめの一撃/ソウル夢/由宇様
音もなく、静かに。
私の背中はゆっくりと壁に押し付けられて、唇は塞がれた。
驚いて目の前の肩を押し返せば、意外にあっさりと彼は身を引く。
けれど、その代わりとでも言わんばかりに抱きしめられて。
「そ、ソウル…?」
熱い。
重なった唇が、掴まれた手首が。
無機質な壁に密着する背中すら熱い。
“好きだ”
小さくその声が響く。
それに対してどう返事をすればわからずに。私は、ひとり動転。
すき、って、
「ななし」
真っ直ぐな赤い瞳に吸い込まれるような錯覚。
反則だよ、そんな真剣な表情。
バクバク心臓が騒がしくって。(ってか、)(いきなりキスしといて今更なに言ってんの、)
こんな状況で。
しかも、君に。ソウルに。
そんなこと言われて「私は嫌い」だなんて、思うはずがないじゃんか。
「ななし、愛してる」
ああ、とどめの一撃
素直な捻くれ者が愛しくて憎い、
リクエストありがとうございました!
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