ノマカプ
静かっつーのも良いかもしんねぇ/黒椿
“ひざまくら”
唐突に発せられたその名詞にリアクションをとる間もなく、正座していた膝にはこてん、という感覚。
いつからだろう。
コンビを組んで物心ついたころから、この行動は定番になっていた。
あたたかくて落ち着くんだ、と、彼は笑う。
「なーつばきー」
「うん?」
「頭、撫でて」
言いながら、ブラック☆スターは目を閉じた。(今日は甘えん坊な日?)
ふわり。
少し硬い髪質の水色を、そっと指で梳く。
秋なのか冬なのかよくわからない微妙な気候のこの時期、ふれあっている箇所のほんのりとしたぬくもりは、なんだか幸せになる。
一般人とは掛け離れた過激な日常を送っているからこそ、こんな些細な時間が限りなく愛しい。
「……わ、」
そんなとき、予告無しにブラック☆スターの指が伸ばされた。
それはくるりと漆黒に絡まる。自分は動いていないのに髪だけがゆらゆら。
なんか不思議だ。
「俺さ」
「うん」
「目立つの好きじゃんか」
「うん」
「でもよ、椿とふたりっきり前提なら、」
静かっつーのも良いかもしんねぇ
静かなんかじゃない、今私の鼓動はうるさいよ、
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