ノマカプ
俺が全面的に受け止めてやるよ/ソウマカ
切ない夢を見たような気がする。
どんな内容だったかは覚えてない、けれど胸の奥がきゅうってなって、苦しくて。
夢なんて幻想、それは現実じゃないって事くらいわかってる。
わかってる、けど。
「…マカ?」
縋らずにはいられなかった。
こうしてると自分は優等生なんかじゃなくて、ただの駄々っ子甘えっ子のような気すらしてくる。
ソウルの背中に抱き着いて、服のシワを指で手繰った。
「どうした?」
「なんでもない」
「嘘つけ」
「暫くこのままでいさせて」
「理由になってねぇじゃん」なんて言われたけれど、でも振り払うことはしないから。
その遠回しな優しさに、もう少し縋らせて欲しいなんて思う。
ああ、我が儘だな、私。
「ほら、そろそろ放せ」
「ごめん…」
「そうじゃなくて」
静かに離れたら、すぐさま抱きしめられる。
びっくりして、思考回路が一瞬だけ停止した。(だ、だって、)(どういう…、)
「ソ、ウル……?」
「お前ホント馬鹿」
「何よ」
「甘えたいなら、一方的じゃ意味ねーの。中途半端に遠慮しないで正面からガッツリ来いよ」
俺が全面的に受け止めてやるよ
頭をふわふわ撫でてくれる少し広い手にドキリとした、
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