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夢の大桜
日常「新たなる幕開け」
『新たな発見と新たなる幕開け』


この世界に来て、並中に編入してから初めての週末の休日。
雪華は雲雀家の台所でハンバーグを作っていた。
「………………………………て!何故こうなったッ!!!」
雪華はご近所迷惑にならない程度にそう叫んだ。
しかし、今この状況のそもそもの原因は雲雀にあるのだ。
先日、久々に自分の分の風紀委員の仕事が早く終わり、先に帰ることになった雪華は偶然ツナたちと帰りが一緒になり、せっかくだからと山本の家である「竹寿司」で夕飯をご馳走になることになったのだ。
山本の父親とも打ち解け、腹を満たして自宅へ向かう途中で今度は雲雀に会い、なぜ遅くなったのかを聞かれ素直に先程までのことを雲雀に話すと、何故か雲雀が独占欲を発揮し、週末に雲雀の家でハンバーグを作れという命令を下された。もちろん拒否権は無し。
そして冒頭に戻る。
「お手伝いさんに美味しいご飯作ってもらってるクセに、なんで私が作るのよ…。絶対にお手伝いさんが作った方が美味しいのに…」
しかし、そうぶつくさ言いながらも着々と材料を合わせていき、後は形を整えて焼くだけというところまで来ている。
(はぁ…。まさかこんな事になるとは思わなかった…。いや、まぁ、恭弥さんの好物がハンバーグってことは知ってたけど……)
「ちゃっちゃと作って早く家に帰ろう…。ちょっと調べたい部屋があるし」
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「恭弥さん、できましたよ。お口に合うかどうかは分かりませんけど」
「ん。すぐ行く」
ハンバーグの盛り付けもしっかりやってから雲雀を呼びに行った。
雲雀が、綺麗に盛り付けされたハンバーグを見て最初の言葉は、「美味しそう」などの言葉ではなく、ただ
「キミ、本当に料理できたんだね」
その一言だった。
「……。あのですねぇ、私は一人暮らしなんですよ?自炊くらいできて当たり前でしょう。てか、今までの私に対する印象って料理できないっ子だったんですか!?」
「まあ、そういうことになるね」
(……………………なんなのこの人)
「はぁ…。もういいですよ。私は家でどうしてもやりたいことがあるので、これで帰らせていただきますね」
「やりたいこと?」
「ええ。自宅の中で、まだ確認していない部屋を見つけたんですよ。何の部屋かわからないので調べてみるんです」
「……そう」
(何よ今の間は…)
雪華は立ち上がり、お粗末様でしたと言って雲雀の家を後にした。
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「………さて」
(問題の部屋の前まで来たはいいけど、なんかホラー的な感じの部屋だったらどうしよう……)
そして、意を決し恐る恐る扉を開く。
ギィィィ、と本格的にホラーのような軋む音を立てて開いた扉の先には…
「!?な、なに、これ……!?」
扉の先には、武器庫のような風景が広がっていた。
「なんでこんなにも武器があるの……?」
銃や刀、剣類がメインで保管されており、中でも2本の刀と、純白の大鎌が一際目を引いた。
大鎌には所々に雪の結晶の様な模様が施されており、雪を思い起こさせる。
一方、刀は白黒の物で、柄から刀身までがそれぞれ一色に染まっている。白い刀の柄には白龍の装飾があり、黒い刀の柄には黒龍の装飾がある。恐らく、この刀は一対の刀で2本揃って初めて意味のある刀なのだろう。
「………ここって、一応私の家…なのよね?」
(でも、なんでこんなにも武器があるの?別に裏社会に顔が利くわけでもないのに…)
「まさか、親が…?いや、そんな訳ないか。こっちの世界には私の親はいない筈だもの」
だが、そうなると誰がこれほどの武器を揃えたのだろうか。
「……考えてても仕方ないし、ちょっと気分転換にでも行こうかな」
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黒曜近くの河原にやって来た。
空はほんのりと夕焼け色に染まり始めてゆく。
「はぁ……」
(どうしてあんなものがあったのかしら…。そういえば、雪も恭弥さんに初めて会った時、まるで分かっていたかのように小刀に変形した。そして、懐かしいと感じた)
刀を持ったことなどありはしない。なのになぜ、"懐かしい"と感じたのか?
雪を初めて見たときは、アルコバレーノが一人一匹連れているパートナー(?)かとも思った。
リボーンのレオンのように変形するオコジョの雪、雲雀との戦闘時に小刀に変形した雪を懐かしいと感じた自分、そして。
「武器庫のようなあの部屋…」
自分が本当は何者なのか、ずっと疑問に思っていた。
元の世界では剣道をやっていたが、剣術とはまた動きが違うはずなのに、あの時はそれらなりに動けていた。
「これからの戦いを経ていく中で、自分が何者なのか…、なんでこの世界に来たのか、解るのかな…」
ザァ…と少し強めの風が吹き抜ける。
こういう時、孤独を強く感じる。
とその時、誰かに声をかけられた。
「ああ…、やっと逢えましたね……。雪華」
「え…?」
雪華は声の主を見るため、ゆっくりと振り向く。
瞬間、雪華の視界が大きく傾いた。
「クフフ…。会いたかったですよ雪華……。貴女は僕の計画に必要不可欠な存在だ…」
そして、意識を手放す瞬間に見た声の主は、特徴的なナッポーヘアと綺麗なオッドアイの少年だった。
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(彼女を…雪華を本当に護れるのは僕だ。雲雀恭弥になど絶対に渡すものか)




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