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必要不可欠なもののひとつ
思った結果と酷く近く、驚くほど遠い。

一部に置いてはほぼ想像の範囲であるのに、他の部分に置いて、全く違う結果が出ているわけで。

寝れば違うものになると思っていたものはさほど変わらないまま、ジャーファルは無自覚のまま悪化したかのようにシンドバッドには見えた。

悪化と言うと聞こえが悪いが、つまるところ、気持ちは膨らんだのだから、ここはシンドバッドの思い通りである。

が、その気持ちを受け入れようとしていないところは変わっていないために、いまいち期待した結果は出ていないという、そんな調子のまま、ジャーファルは上の空で怪我をした訳だ。

今思えば、無自覚だからこそ、途中からジャーファルは受け入れたのだと分かる。

王の望みを叶えたい、ただそれだけで受け入れ、それだけで済まない気持ちを胸の内に飼っているために時折精神的な歪みに苦しんで戻した。

総合的に見て、このままではいられないと、夜風に当たりながらシンドバッドはこっそりと持ち込んだ酒を煽った。

困らせたいわけではない。

最初、ただ、気持ちに応えてやろうと思ったのだ。

ジャーファルが恋情を抱いているのだと、ジャーファル自身より早く気付いて、勝手にそれに応えようと、自覚を促したのは一体誰のためだろう。

「…俺だな」

自室のテラスで声を聞くものはない。

だからこそ、零して、額を押さえた。

なかなかその気にならなかった体を拓いてまだ丸一日。

しかし、言うなら早い方が良いと、シンドバッドはグラスを置いて部屋を出た。




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