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休日の過ごし方
結局その後、もう考えるのをやめた。

折角休みなのに、珍しい休みなのに、と周りから気を使われながらなので大して仕事にならなかったが、執務室で過ごし、普段直接見てやれない若い文官に仕事を手解きする。

シンドバッドたちが帰って来たのはもう夜更けで、軽く引っ掛けてきたのか、皆ほろ酔いで。

ジャーファルがフルに職に付いているわけではない日はこんなものだと皆言っていたが、仕事はまだ終わっていなかった。

「ただいまー!」

子供の声がやたら元気に響いて、ジャーファルは若い文官の後ろからチェックと指示をしていたが、振り返って微笑んで見せた。

「おかえりなさい。楽しかったですか?」

言いながら、後は自分で頑張ってという思いで、若い文官の肩を叩き数歩離れる。

取り敢えず、アラジンは元気なだけで飲んでいないようだ。

他の面子は何だかちょっとぐにゃぐにゃしているような、気がする。

見渡し、視線で皆の顔を撫でて行くが、シンドバッドと目があったとき、そこで止まった。

いつも一番飲んでいる人で、一番ぐにゃぐにゃしているのに、何だか不機嫌そうだ。

僅かに眼を細めたかと思うと反らされ、ジャーファルは首を傾げる。

違和感を感じつつも、腰にアラジンが飛びついて来たので、その頭を撫でてやった。

「お酒は飲まなかったですね?」

「うん!でもきれいなお姉さんがね…!」

ああ、この人たちは子供連れで綺麗なお姉さんの居る店に行ったのか、と、一瞬呆れたが、ここで、昼間に差し入れられた飲み物の効果が出てしまい、ジャーファルはそれについて何を言うこともなかった。

余程楽しかったらしいおっぱい星人のアラジンの話を聞いて顔を上げると、そこにシンドバッドがいない。

ひとり、既に輪から離脱してしまっている。

普段なら酒が入ると、帰ってきて早々飲み直そうと誘ったり、甘えて見せたりする人で、間違っても客を放置していなくなる人ではない。

人前では豪快で豪傑。

そういう人だ。

居なくなったシンドバッドに気付いているのかいないのか、飲み直そうと誘ったのはシャルルカンだ。

苛っとする気持ちが湧きあがったものの、食客たちを放置するわけにはいかず、ジャーファルは笑顔を向けた。

「酒の席を用意させましょう。どうぞ」

その宴会は深夜まで続き、ジャーファルも相当飲んだ。

酒にはめっぽう強いが全く酔わないわけじゃない。

軽く回って思うのは、そうだ、好きどころか嫌いになればいいのに、という感情ばかりだった。

敬愛は一方通行でいいものだ。





あきゅろす。
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