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休日の過ごし方
そこで、はたと気付くのが周囲の視線である。

「シンドバッドおじさんはジャーファルお兄さんが大事なんだね」

アラジンのキラキラした目が今は辛い。

褒めているつもりなのかもしれないが、その言葉で何故かアリババ辺りが目を反らしたからだ。

ついでにアラジンの目も隠そうとするから余計に居たたまれない。

「眠い者もいるようですのでそろそろ…」

言ったのはマスルールだ。

助け舟かと思ったが、実際眠ってしまっているモルジアナとヤムライハを各々脇に抱えている。

女性の抱き方ではないが、二人を運ばねばならないため、そうなるのは仕方ない。

見知った顔と言えど酔ったシンドバッドの前に女性を置いて行くなと何度もいい含めてある。

「今夜の宴会はお開きだな」

シャルルカンの声に皆一様に席を立った。

結局起こされたのは、最後にシンドバッドの面倒を見ろと言うことなのだろう。

「シンドバッドおじさんは寝ないの?」

「ああ、ジャーファルが寝たら行く」

最後にアラジンだけが振りかえったが、それでも皆やっと解散し、突然部屋の中が静かになる。

明日一番の仕事は片付けになりそうだと見渡していると、また体が浮いた。

もう好きにしろと言う気分でいると、シンドバッドは恭しくベッドに下ろし、自らもベッドに潜り込もうとする。

「自室で寝てください」

「ジャーファルが寂しい思いをしては可哀そうだ」

僅かに上ずったかもしれないが、わざと冷静な声を出せば、まるで正論を言っているような声が返ってくる。

本当に酔っているのかと疑いたくなるほどに。

「大丈夫だ、何も怖くない。怖いものは俺が倒してやる」

言って抱きしめて来る腕に、やはり酔っているのだろうと思うと同時に、なんだか少し絆されてしまった。

酒の匂いに交じって、懐かしい匂いがするのがいけない。

眠れないときにはいつもこの匂いの中で守られていた。

「…もう寝ます」

「ああ、おやすみ、ジャーファル」

今まで寝ていたのだから眠れる訳もないが、ひとこと口にすると、抱きしめて来る腕が緩まり、シンドバッドが眠りの淵に落ちる。

しかし、その腕から出る気になれず、眠れないまでも、そのまま瞳を伏せた。





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