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休日の過ごし方
シンドバッドは一瞬首を傾げてから、ああ、と何事か思い付いたように頷いた。

「わかった」

「…何がです。嫌な予感しかしませんが」

とんでもないことを言いださないようにと願うしかない。

普段はちゃんと王様で、判断に欠けるなんてことはまずないが、今日はただの酔っ払いである。

「拗ねるなジャーファル」

「…は?」

何を思う暇もなくシーツごと抱き上げられ、アラジンも驚いて膝から飛び降りる。

何が客人の前で抱き上げたりしないくらいには気を使ってるだ。

そう思っても、今は酔っぱらい、寝て起きたら忘れているだろうことが腹立たしい。

どうせ覚えてないなら一発殴ってやろうかとも思ったが、覚えていないのはシンドバッドだけで、今ここにいる面子は覚えているだろうからそれもできない。

苦く思っている間に、シンドバッドはそこがさっきまでいた位置なのか、マスルールとシャルルカンの間に腰を据え、自らの膝の上にジャーファルを下ろした。

「…寝ます」

やってられるか。

ベッドに向かうため、立ち上がろうとしたが、横抱きに抱えられ、しっかりと抱きこまれてはすぐに動けない。

じとりと見るも、シンドバッドは新たな酒を煽り、酷く楽しそうに笑って見せるだけ。

怒り甲斐もなくて溜息が零れるばかりである。

「そうだ、思い出した。先に飲み始めたが、ジャーファルが寂しがっていると思ってここに来た」

「寝てる人間が寂しいわけありますか」

「ジャーファルは一人で寝られないだろう?」

「…あんたどんだけ飲んだんです」

そんなのは子供の頃、それも一時期の話だ。

ここにきて心がまともになり始めると、突然、自らが恨みを持っているわけでもない人間を手に掛けたことが怖くて眠れなくなり、その間、ずっとシンドバッドがジャーファルの起きている間一緒に起きていてくれた。

眠れるまで根気よく傍にいてくれたことは、今も覚えている。

「大丈夫だ、ジャーファルが眠れるまで起きているぞ」

「…寝て下さって結構ですよ」

「お前はそうやっていつも…可愛くない」

言いながら、シンドバッドは酒を煽っていたグラスを置き、その手でジャーファルの背を撫で始めた。




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