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惰眠の中で恋をする









新居に引っ越して数日。
やっと慌ただしかった日常も落ち着き、久しぶりに静かな時間が流れる。
部屋に差す日差しが心地良い。
今はソファーに座り、これから一緒に過ごすまだ見慣れない部屋を眺めていた。






「なんだか夢みたい」


「んっ、どうした?」


「まさかこんなに早く一緒に住めるなんて思ってなかっから」


俺達は星月学園を卒業後、お互い大学に進学し就職。
今回仕事も落ち着いてきたので、同棲することになった。


「俺もだよ。
なんか実感が湧かないぜ、これから毎日一緒に過ごせるなんて。
俺が一緒に住もうって言ったのにな」


「ふふ、確かに。




………ねぇ、どうしよう犬飼君」


「ん、どうした?」


顔を覗くと、何だか目が潤んでいる気がする。
なんだろう。
不安が頭をよぎる。


「私、こんな幸せで良いのかな?」


夜久から紡がれたのは『幸せ』という言葉。
その一言で緊張が一気にとける。
本当に俺はお前に揺られっぱなしだ。
なんだか悔しくて頭をくしゃくしゃしてやった。


「っ、なんだよ。
もしかして一緒に住むのが嫌だったのかって心配したじゃねーか。
それにしても、お前は相変わらずバカだな」


「同棲が嫌だったら、もっと前に断ってるよ。
それより、バカってなに!!
後、髪の毛ボサボサになる!!」


「ん、バカだからバカって言った」


「なにそれ」


ぷくっと頬を膨らまして拗ねる夜久。
こいつには反応が可愛くてついからかってしまう。


(全く、悪い癖だな)


俺は夜久の腕を掴み、抱き寄せた。


「幸せで良いんだよ。
これから俺がもっと幸せにしてやる。
必ずだ」


「そんなこと言われたら、泣きそうになるよ」


「嬉し泣きなら喜んで」


「犬飼君、大好き」


「知ってる」


「…………バカ」


「言ってろよ」


しばらく沈黙が続くと夜久は俺に体を預けてきた。
どうやら眠くなったみたいで、目を重たそうにしている。


「ねぇ、このまま寝たらきっと同じ夢を見れるよね。
そしたら素敵ね」


「試してみようか?」


「うん。
じゃあ、また夢の中でね」


寝ぼけて可愛いことを言うもんだから、抱きしめる力を強めた。


(なぁ、俺も今幸せ過ぎるよ)


そして俺は眼鏡を外し、うとうとしている夜久にキスをした。



どうか夢の中でも会えますようにと願いを込めて。



「い、犬飼君!?」


「おやすみのキスだよ。
そんじゃ、良い夢を見ようぜ。
おやすみ」











これから夢の世界でも恋をしようじゃないか













for→神様が星座に恋した日、

今回は素敵な企画に参加させて頂き、ありがとうございました!!
神話科企画の一員になれた事を嬉しく思っています。
これからもst☆skへの愛は永久に不滅です!!


沙奈















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