まどろみの中目を開ければ、部屋に朝日が差し込む。 全てを呑み込む闇は眠りにつき、かわりに眩しい程の輝きが辺りを照らしていた。 今まで朝は苦手だった。 寝ていれば煩わしい人間関係などない。 起きた所でただ1日が無駄に過ぎていくだけ。 利用され利用する日常。 そこには、空っぽな僕しか存在しない。 だけど、今は違う。 僕の隣りには愛しい君が居る。 何度嘘をついても信じてくれた、僕を闇の世界から救い出してくれた、大切な月子が。 「お姫様、お目覚めの時間ですよ?」 まだ寝ている月子のおでこにキスを落とす。 するとまだ重そうな瞼を一度開き、また閉じてしまった。 まだ眠いのだろう。 本当に可愛い反応だな。 「はぁ、全く困ったお姫様だ。 やっぱり、おでこじゃなくて唇にキスしないとダメかな?」 「………!!」 どうやらさっきの一言で目が覚めたらしい。 目はパッチリ開き、頬は少し赤みを帯びている。 「おはよう、月子?」 「お、おはようございます」 「ふふ、君はいつも付き合ってまだ浅いカップルみたいな反応をするね。 まだ慣れない?」 「な、慣れませんよ。 私の大好きな人なんですから」 頬を更に赤らめてそっぽ向く君。 そんなちょっとした仕草ですら心臓の鼓動が早まってる。 『慣れた?』なんて愚問だったね。 「そうだね、僕も慣れないよ。 月子が愛しくてたまらない。 毎日好きという感情が溢れてく。 言葉じゃ表せないぐらいに、ね」 僕は月子の腕を掴み、抱き寄せる。 「い、郁!?」 「今まで愛なんていつかは薄れるものだと思ってた。 一時の感情でしかないと。 でも、違った、違ったんだね。 僕は君と過ごす度に惹かれていく。 僕は月子に捕らわれたみたいだ」 「私も日に日に好きって気持ちが大きくなってます。 郁と結婚して幸せです。 泣きそうなくらい」 「僕は幸福な旦那だな。 僕も、君と一緒に居れるだけで幸せだよ? 月子、僕と結婚してくれてありがとう。 先のことは分からない。 けど、何があっても2人で乗り越えていこう? 2人なら大丈夫だよ、2人なら」 何か君は言おうとしていた。 けど、僕はそれを唇で塞ぐ。 答えなんて聞かなくても分かってるから。 どんどん 好きになっていく (僕達はずっと一緒だ) for→相思相愛様 今回は素敵な企画に参加させて頂き、ありがとうございました。 相思相愛という企画の一員になれて嬉しく思っています。 夫婦設定は書いていてとても楽しかったですよ。 短いですが、以上を挨拶とさせて頂きます。 今回は本当にありがとうございました。 [戻る] |