最終目的
キュッキュッと体育館に響き渡るバッシュが擦れる音。
陵南との試合を終えて新たに目標への闘志を燃やした部員たちは、それぞれの思いを胸に抱きながら練習に励んでいた。
彩子は棗と話を終えると笛を鳴らし、赤木が集合をかける。
「たくさんいた1年も、あっという間にお前ら5人になっちまったな」
「ちっ、根性なし共め」
「まぁいい、毎年のことだからな。
今年はマシな方だ。
地区予選は近い、このメンバーで戦い抜くしかない」
200校を超えるチームが県内に存在し、
中でも去年優勝の海南大付属校は10年連続インターハイに出場するほどの全国でも有名な強豪。
そしてその海南に年々迫る去年2位の翔陽、そして天才仙道と怪物魚住を擁する陵南が一目置かれている。
湘北のインターハイへの道のりは長いように思えた。
「いいか!
海南、翔陽、陵南、何処が相手だろうとその強豪を倒すのは……」
「湘北!!」
「そ、そうだ」
仙道の名を聞いて先日のことを思い出したのか、額に青筋を立ててキッと拳を握って赤木の言葉を先に言う桜木。
「超天才桜木、アーンド大怪獣ゴリを擁する湘北が絶対勝ーつ!!」
だがそこで赤木の拳が炸裂。
「誰が大怪獣だ」
「どあほう」
『ぶふっ!』
思わず吹いた棗は赤木にジロリを睨まれ、慌てて彩子の後ろに隠れる。
「いいか! あくまで最終目標は……」
「全国制覇!!」
「そうだ桜木……一々言わんでいい。
厳しい練習だが、みんな何としてでもついて来い!」
「「おう!」」
すると安西がやって来た。
「昨日はいい試合をしましたね。
頑張ればいつかきっと素晴らしいバスケットが出来ますよ」
――君たちは強くなる。
その言葉に全員は練習に励み、どんどん強くなっていくチームを棗は頼もしそうに笑みを浮かべた。
「彩子」
みんなが練習する中、赤木は彩子に訊ねた。
「アイツは……予選に間に合うのか?」
「アイツって?」
「とぼけるな。 1人しかいないだろ」
「……!」
『?』
赤木と彩子の会話に、棗は首を傾げるだけだった。
浮かぶ疑問
(どうしたんだろ、赤木さんと彩子先輩……)
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