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傾く勝機






動きがよくなった桜木はボールをカットしたり、ルーズボールを相手よりも早く追いかけたりと持ち前の運動能力を発揮。

ルーズボールは取りに行った際に田岡と衝突したことでものにはできなかったが、良い動きだった。





「ナイスファイトだ桜木、惜しい惜しい」


「もうちょいだったのにジジイが邪魔だった」


「やるわ、あの子」





彩子は桜木の動きを見て表情を明るくさせ、棗も思わず笑みが零れた。



彦一は勉強になったと興奮気味。

後ろで田岡は衝突した衝撃のせいか腰を痛めたよう。





「ふん、ひたむきさだけでバスケットが出来るか」


「スピードもありますよ、アイツ」


「仙道!」






その桜木の追いつかれた越野はいつの間に、と思った。


魚住はメンバーに声を掛け、桜木の上から決めてやるから自分にどんどんボールを回せと言いのけ、桜木はそれを聞いて憤慨。





「ふん、ゴリに比べたらテメェなんてどうってことねぇ」


(おー、言う言う)


「ハンズアップ、ハンズアップ!
足動かしてプレッシャーかけてー!」





陵南ボールは次第に魚住にパスされ、桜木との一騎打ちに。




すると桜木は以前赤木との勝負の際に使った壁のようなディフェンスを繰り出し、魚住を圧倒させてボールを奪う。


壁のように思えた桜木のディフェンスに、仙道が声を掛けるまで呆然としていた。





彩子が毎日基礎から鍛え上げたドリブルの成果が発揮し、陵南のベンチでは素人には見えないと口々に溢し始める。





『良いぞ桜木ー、そのまま行けー!』


(棗にやっといいとこ見せれた……!)


(……もしかして)





仙道は棗の視線が小さくガッツポーズをしている桜木によく向いていることに気づいた。





“滅茶苦茶なところがあるが、頼もしい”





それはコートを駆ける前方の青年と重なった。






「……なるほどな」





ゴール下ではパスがいずれ流川に行くと考えて陵南は流川にマークを集中させるが、

彼にパスをするのだけは絶対にしないと誓うことを知らない陵南は、桜木にパスされたノーマークの木暮にシュートを決められて点差を縮められる。





絶好調の桜木と期待されている流川の活躍により接戦となるが、次第に赤木を欠いた今、リバウンドを取れる者がいないことで弱点を突かれ、桜木がやはり素人だということを田岡は知った。

現に魚住とのリバウンド勝負では1本も取れないまま。





何故リバウンドが取れないのかと悩みに悩みまくっていると、救世主である赤木が治療から戻った。

赤木は流川と交代。





「ナイスファイト、流川!」

『お疲れ、流川』

「……」





タオルを受け取った流川はイスに腰掛けるが、渡してくれた棗の方を痛いくらいに見ていた。


何か気に障ることをしてしまったのかと不安になったが、





「よそ見、してなかったか」

『お…?うん、ちゃんと試合見てたよ』

「そうか」

『?』





すると安西は流川に休憩は1分だけだと言った。





「ラスト2分が勝負です。行けますか?」

「!」






試合時間は残り3分を切った。

赤木が戻ったことで士気が高まり、早々に点を取り返した。


そして赤木の言葉により、昨夜練習したリバウンドの練習でスクリーンアウトを思い出した桜木は、見事に魚住からリバウンドをもぎ取った。





「よーし、そうだ!」

『ナイスリバウンド、桜木!』





漸く取れたリバウンドに桜木は吠えた。





練習の成果


(凄い、凄い!やったね桜木!)

((早く1分経て……))



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