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前半終了





前半5分。

陵南の怒涛の攻撃に加えて桜木のテクニカルファールによるフリースローが決まり、湘北は無得点のまま15点差に引き離された。



流川が止めようとするも虚しく、仙道のパスにより陵南が17点目を迎えた時には仙道コールが響き渡る。






『まさに四面楚歌……仙道さんのプレーには華がありますね、彩子先輩』


「だから敵を褒めてどうするのよ!」


「ふんぎぃぃ……っ」





桜木はテクニカルファールを受けたばかりなのに歓声を黙らせようと懲りもせず立ち上がり、彩子に叱られる。


湘北が3ポイントを投げるが入らず、リバウンドを魚住にとられて速攻を受ける。

ボールを持った仙道は先程のアシストとは違い、自らダンクを決めた。





――それはまさに超高校級のプレーだった。



歓声がさらに大きくなる中……。








『カッコいいなぁ……仙道さん』







ダンクを決めた仙道を見た棗。


ほんの少しだが、初めて桜木以外の人物に興味を持った瞬間だった。







仙道の超高校級プレーを見て火が付いた2人。


そして棗の言葉にさらに火が付いた2人。






「さぁまず1本いこー、落ち着いて返していこー!」


『……』


「コラ棗! 視線何処に向いてるのよ!」


「おのれ仙道……!!」






湘北ボールはあっという間にカットされ、やはり仙道が上がる。

仙道は空中でパスを受けようとゴール下で飛んだ。





「あ、あれは……!」

『…アリウープ』

「え?」





アリウープを知らないはずの棗に彩子はハッとした。

だが今はそんなことなど気にしていられず、仙道に渡りゆくボールを見つめるだけ。




1年生は陵南相手じゃダメだと諦め、それを桜木はうるさいと憤慨。

いいところを見せられない上に、絶好調の仙道に完全に意識が向いている棗に桜木はイライラが止まらない。






ボールが仙道に渡るところで――空気が変わった。






「流川!」






高いジャンプでボールをカットした流川に誰もが驚いた。





「…さぁ、行こうか」

「……」





流川はそう言うと視線が動き、仙道からきょとんとしている棗に向くとキッと鋭く見据えた。





『ん?』







――見てろよ。







目は口ほどにものを言うというが、オーラでもそう言っているように感じ取れた。



それからの流川は速いドリブルで植草や越野をあっという間に抜き、ゴール下まで辿り着く。

戻りの速い仙道に息を呑んだが、彼の後ろに控えていたノーマークの赤木に流川のパスが回ってダンクが決まった。





「出たー、ゴリラダンク!」

『おぉ、赤木さん凄い!』





意識の矛先が元に戻ったのか棗は赤木強烈ダンクに表情が明るくなる。




赤木のダンクから湘北側の雰囲気が良くなり、動きがよくなって次第に点を入れていく。

ディフェンスも良くなり、赤木のリバウンドも活躍するようになった。




そして前半終了間際には流川のダンクも決まり、湘北に完全に火が付いた。





「おい」





棗がノートを見て得点を確認していると、ふと汗だくの流川がこちらを見据えて声を掛けた。


何かと首を傾げると、






「よそ見してんじゃねぇ」

『おぉ?』





コートを指差して言う流川に何のことかと聞き返すが、彼はそれっきり口を開かず黙って汗を拭うだけ。


彩子がニヤニヤと笑っているのも気づかず、訳が分からないと肩を竦めてノートに視線を戻す棗。







前半戦では赤木が17得点、流川が14得点、木暮が7得点、そして安田、塩崎並びに2得点。

一時はどうなるかと思ったが、陵南相手に8点差で後半戦に臨むことになった。




そして桜木は前半戦に出して貰えなかったことにわなわなと体を震わせていた。






える後半戦


(くっそー、この天才に何故回らない!)

(まぁまぁ落ち着きなって桜木)

(そういや棗、仙道なんかはこの俺が必ず倒すぞ!)

(? うん、頑張って)




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あきゅろす。
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