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役者は揃った







「由利は一体何をしとるんだぁぁぁ!!」





棗と仙道が話題を膨らませて会話をし、ヤバいと思って走り出している一方で、用意された控室に集まっていた湘北バスケ部はひやひやしていた。




原因は勿論のこと棗の不在。

遅刻するなとあれだけ言っておきながら集合時間の電車に姿がない棗に赤木は額に青筋を立てていた。





「どうしたのかしら棗」


「アイツに限って寝坊など……いや、ありえるかも」





桜木は何処か抜けている部分があることを分かっている為、こういう時に限ってやらかしてしまうかもしれないと1人納得していた。


対する彩子はいろいろ考えてもしかして、と目を見開く。





「もしかして遅れて乗った電車の中で痴漢に遭ってるのかも……!」


「何、棗が……!!」


「きっとそうよ!
あれだけ存在感があるもの、痴漢だって手を出すかもしれないじゃない!」


「そ、そうだったら大変だけど……」






彩子がどんどん痴漢説を膨らませていく中、いずれにしろ棗の不在に部員たちは困った。




1番困るのは、桜木のストッパーがいないということ。


やはり桜木はスタメン発表の時にユニフォームのことで暴れ、赤木といつもの喧嘩が始まってしまった。



彩子は2人を止めてくれと流川に頼むがそっぽを向かれて拒否されてしまう始末。

だがそこで安西が桜木に自分の存在が秘密兵器だということで機嫌はあっさりと直り、流川より若い背番号10を受け取ってご機嫌いっぱい。



それでも、桜木は棗がいないことでそわそわと落ち着きがない。






「棗君のことでしたら大丈夫でしょう。
彼女は臨機応変ですから」


「そういやアイツ、何でも四字熟語がよく似合ってたな」





事故以外なら大丈夫だろうと安心した桜木はいつものように調子に乗り、応援に来た水戸たちに背番号のことを聞かれると実力だと高らかに笑った。


安西に言われた秘密兵器だという言葉は頭の中をリピートし、魚住にまでとっついたりとやりたい放題。









すると、陵南監督の田岡茂一が声を上げた。






「仙道はまだか!」





一方で赤木も「由利はまだなのか!」と彩子に訊ねていた。





桜木は先日知り合った湘北の偵察にやって来た相田彦一に仙道は何処だと訊ねた。

だが彼は未だここに現れていないらしい。





「時間におおらかな人やから」

「ルーズっていうんだ」





魚住はすかさず訂正。

彦一は自分のマル秘チェックノートに載っていない名前を聞いて首を傾げた。





「由利さんって誰ですか、桜木さん?」


「ぬははは、それはなぁ俺の……」






桜木の誇らしそうな言葉はドアが開く音で遮られた。





「ちわーっす」





大きな声に両校とも視線がドアの方に向かい、やって来た青年は悪いと片手を挙げて詫びた。





「来はりました、仙道さんです」


「何、あれが仙道!」


「コラー、このバカもん!
今まで一体何しとったんじゃ仙道!」


「すいません先生、寝坊です」


「ぐっ……」





あっさりと正直に寝坊と言いのけた仙道に、田岡は怒る気にもなれなくなった。






そんな仙道の後ろからひょっこりと現れた姿。





『仙道さんを怒らないであげてください、先生』


「む?」


「なーーっ!?」





仙道の大きな体格のせいで壁になっていたのか、申し訳なさそうに表情を暗くする棗に対し、驚愕の表情を浮かべる湘北バスケ部。






迷子の到着


(うわ、何ですかあの美人さんは!)

(な、なんで…何で仙道と一緒にいるんだぁぁ!!)

(ちょっと桜木さん、落ち着いてください!)

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あきゅろす。
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